時折、「物忘れや間違いをしなかったか?」と、記憶がさだかではなくなることはないでしょうか?例えば、「急いで外出したが鍵をかけたか?」とか「大事な試験の解答を間違えなかったか?」など、どれだけ記憶をさぐっても絶対確実とはいえないことについて、「きっと大丈夫」と思いながらも不安になった経験は、どなたにもあるかと思います。この不安感が極端となってしまう病気が、強迫性障害です。
強迫性障害の症状には、強迫観念(大丈夫だと思っても不安になる気持ち)と強迫行為(不安を打ち消すための行動)があります。例えば、外出時に「鍵をかけ忘れてはいないか?」と不安になり(強迫観念)、何度も何度も戸締りを確認してしまう(強迫行為)うちに、予定の時間に間に合わなくなったり、「手が汚れているのではないか?」と必要以上に不安になり(強迫観念)、手が荒れるまで繰り返し洗ってしまう(強迫行為)、などのケースがあります。
診断基準(DSM-W)
- 強迫観念、強迫行為のどちらか。
1. 2. 3. および 4.によって定義される強迫観念:
- 反復的、持続的な思考、衝動、または心像であり、それは障害の期間の一時期には、侵入的で不適切なものとして体験されており、強い不安や苦痛を引き起こすことがある。
- その思考、衝動または心象は、単に現実生活の問題についての過剰な心配ではない。
- その人は、その強迫的な思考、衝動または心象を無視したり、抑制したり、何か他の思考または行為によって中和しようと試みる。
- その人は、その強迫的な思考、 衝動または心象が(思考吹入の場合のように、外部から強制されたものでなく)自分自身の心の産物であると認識している。
1. および2.によって定義される強迫行為:
- 反復行動(例:手を洗う、順番に並べる、確認する)、または心の中の行為(例:祈る、数を数える、声を出さずに言葉を繰り返す)であり、その人は強迫観念に反応して、または厳密に適用しなくてはならない規則に従って、それ行うよう駆り立てられていると感じている。
- その行動や心の中の行為は、苦痛を予防したり、緩和したり、または何か恐ろしい出来事や状況を避けることを目的としている。しかし、この行動や心の中の行為は、それによって中和したり予防したりしようとしていることとは現実関連をもっていないし、または明らかに過剰である
- この障害の経過のある時点で、その人は、その強迫観念または強迫行為が過剰である、または不合理であると認識したことがある。(注)これは子供には適用されない。
- 強迫観念または強迫行為は、強い苦痛を生じ、時間を浪費させて(1日1時間以上かかる)、またはその人の正常な毎日の生活習慣、職業(または学業)機能、または日常の社会的活動、他者との人間関係を著名に妨害している。
- 他のT軸の障害がある場合、強迫観念または強迫行為の内容が、それに限定されて
ない。
(例:摂食障害が存在する場合の食物へのとらわれ、抜毛癖が存在する場合の抜毛、身体醜形障害が存在している場合の外見についての心配、物質使用障害が存在している場合の薬物へのとらわれ、心気症が存在している場合の性的な衝動または空想へのとらわれ、または大うつ病性障害が存在している場合の罪悪感の反復思考)。
- その障害は、物質(例:乱用薬物、投薬)または一般身体疾患の直接的な生理学的作用によるものではない。