ハートクリニック ロゴマーク
Updated:2007/04/06
ホームページへ クリニックのご案内へ 家族会のコーナーへ クリニック広場へ スタッフ、ボランティア募集 ご相談/問い合わせ リンク集へ サイトマップへ
 
こころの健康アラカルト
自立支援医療費制度
デイケア通信へ
フォトギャラリー
「こころ」の病豆知識へ
こころの病のいろいろ
福祉用語の基礎知識
こども外来
ラジオ局なんじゃへ
スタッフ便り
市民公開講座Q&A
看護師より
ホームヘ戻る

前のページへうつ病についてのトップへ次のページへ

パニック障害について -2 ・・・・・ パニック障害の治療 薬物療法

 パニック障害に対する治療の基本は薬物療法です。(1)選択的セロトニン再取り込み阻害剤(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor:SSRI) (2)ベンゾジアゼピン系抗不安薬 (3)三環系抗うつ剤(Tricyclic Antidepressant;TCA)などが有効である事が認められています。

 どの種類の薬物を使用するかの選択は、各薬物の相対的な効果、短所と長所の差、費用の差、懐妊するか妊娠を続けるか(育児において)授乳を続けるかを含めての患者の意向を考慮して決定されます。下記の3種類の薬物(SSRI・抗不安薬・TCA)はすべて効果が同等である為、薬物の選択においては主に副作用と費用を考慮して決められます。3種類の内、複数の種類が併用される事もあります(表-7.)。

表-7.抗パニック薬の比較

  SSRI TCA ベンゾジアゼピン系
抗不安剤
長 所

抗うつ・抗不安作用がある

抗コリン作用が少ない

依存性がない

乱用が少ない

使用歴が長く研究報告が多い

依存性がない

即効性がある

忍容性がある

薬剤との相互作用が少ない

短 所

効果発現が遅い

薬剤相互作用に要注意

コストが高い

効果発現が遅い

抗コリン作用などの副作用

忍容性が低い

依存性がある

乱用の危険性がある

主な副作用

吐き気など消化器症状

性機能障害

離脱症状

抗コリン作用

心血管毒性

過量服用で致死的

過鎮静

健忘

離脱症状

位置づけ

パニック障害の第一選択薬

SSRIに反応しなかった患者 でも効果がある場合あり

特に急性期治療で有用
頓服でも使用可能

(1)選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)

図-7.抗うつ剤(SSRIなど)の作用 現在パニック障害の治療の第一選択薬剤です。なぜなら副作用が比較的少なく、身体依存や中止後の離脱反応(薬剤を減量あるいは中止時に一時的に生じる身体反応)がほとんど生じないためです。ただし、効果の発現開始まで1〜2週間(十分な効果発現まで約4〜6週間)と時間がかかる事、また高価な事が欠点です。 生物学的な働きとしては、脳内のセロトニン神経終末におけるセロトニンの再取り込みを阻害する事で、シナプス(神経と神経のつなぎ目)のすき間におけるセロトニン濃度を上げ、効果を発揮します。(図-7.)

 日本では現在、パロキセチン(商品名:パキシル®)、フルボキサミン(商品名:ルボックス®・デプロメール®)、セルトラリン(商品名:ジェイゾロフト®)の3つの薬剤が使用されています。

 まず低用量から投薬開始し、徐々に治療反応を見ながら1〜2週間ごとに増量(漸増(ぜんぞう))していきます。投薬開始からある程度の効果が現れるまでに4〜6週間かかりますので、3ヶ月間の急性期の間にほぼ2種類の薬剤を試みる事が可能です。一般にうつ病患者への投与量と比較して、投与開始量は半量程度、維持量は同等の用量が必要と考えられています。

 次にパニック発作が消失すると、その維持量で約2年間内服を継続していく(維持療法)事が推奨されています(一般的にうつ病治療と同等の用量が必要とされますが、症状の程度や個人によって用量や治療期間の幅が実際大きく異なります。その後、治療終結期に入ると用量を徐々に減らし(漸減(ぜんげん))、中止していきます。万が一再燃した場合は服薬を再開します。

(2)ベンゾジアゼピン系抗不安薬

 パニック障害に使用される代表的な薬剤として、アルプラゾラム(商品名:ソラナックス®)、ロラゼパム(商品名:ワイパックス®)、クロナゼパム(商品名:ランドセン®)、ジアゼパム(商品名:セルシン®)、ロフラゼプ酸エチル(商品名:メイラックス®)などが挙げられます。
これらの利点としては即効性(効果発現まで数十分)、そして胃腸障害の副作用がほとんど無い事が挙げられます。従って症状の急速な緩和が必要な場合、またはパニック発作時の頓服として、あるいは強い胃腸症状を認める患者に対して、第一選択剤となり得ます。「抗うつ剤は苦手・恐怖感がある」という患者にも導入として使用する事もあります。

 一方鎮静・運動失調・健忘(物忘れ)等が起こる場合があったり、長期使用により身体依存を引き起したりする(離脱症状が現れ、結果的に中止しにくくなる)事、中断後の再燃(パニック症状のぶり返し)の率が高い事が欠点であり、使用期間としては約3ヶ月以内に留める事が望ましいと言われています。

(3)三環系抗うつ剤(TCA)

 いずれのSSRIでも効果の無い時、あるいはその副作用である消化器症状などが強い場合などでは、三環系抗うつ剤が多く用いられます。効果の発現はSSRIより遅く、効果発現開始まで約4週間、十分な効果発現まで約8〜12週間かかる事もあります。代表的な薬剤にクロミプラミン(商品名:アナフラニール®)、イミプラミン(商品名:トフラニール®)・ノルトリプチリン(商品名:ノリトレン®)等が挙げられます。利点としては薬価が安価な事、欠点としては副作用(口渇・便秘・排尿障害・頻脈・口渇・発汗・倦怠感・眠気・ふらつきなど)が比較的出現しやすい事、過量服薬で致死の可能性がある事です。副作用への過敏性・身体合併症・自殺企図がある場合は避けた方が望ましいと言われています。

(4)その他

 その他の抗うつ剤としてセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(Serotonin Noradrenaline Reuptake Inhibitor:SNRI)、四環系抗うつ剤、モノアミン酸化酵素阻害剤(Monoamine Oxidase Inhibitor:MAOI)などが挙げられます。

  SNRIとしては日本ではミルナシプラン(商品名:トレドミン®)がありますが、残念ながらパニック発作に対す有効性を述べた研究報告がありません(欧米では同じSNRIのベンラファキシンがパニック薬として認められていますが日本では未発売です)。四環形抗うつ剤の中でトラゾドン(商品名:デジレル®)がパニック発作に有効であったという報告があります。モノアミン酸化酵素阻害剤は日本では未発売です。

  抗うつ剤以外では、βブロッカーであるプロプラノロール(商品名:インデラル®)や抗てんかん薬であるバルプロ酸(商品名:デパケン®)の有効性を示唆する研究報告もあります。

前のページへページトップへ次のページへ