うつ病の症状
うつ病は身体症状と精神症状の両方に認められます。中でも気分の落ち込みと意欲の減退はうつ病の二大症状と言われ、最も発現頻度の高い症状です。しかしながら、一般診療科を受診することが多い「仮面うつ病」では、身体症状が前景に現れるために、抑うつ気分などの精神症状がマスクされ、うつ病の診断が困難になります。
そのため、日常診療では心身両面から患者さんを診察することが大切になります。

うつ病の身体的症状
| 症状 |
出現率(%) |
| 睡眠障害 |
82〜100 |
| 疲労・倦怠感 |
54〜92 |
| 食欲不振 |
53〜94 |
| 頭痛・頭重感 |
48〜89 |
| 性欲減退 |
61〜78 |
| 便秘・下痢 |
42〜76 |
| 体重減少 |
58〜74 |
うつ病で認められる身体症状として最も発現頻度が高いものは、睡眠障害でうつ病患者さんの80%以上に認められます。その他、疲労・倦怠感や食欲不振など右の表にあげたような症状もほぼ6割以上の患者さんで認められます。
これらは、日常診療でよくみられる症状であるため軽視されがちですが、このような症状を繰り返し訴える患者さんでは、うつ病を疑う必要があります。
川上富美郎:Clin Neurosci 15(9):1020, 1997より改変
うつ病の方は、自分から症状を伝えません。
下のグラフは、うつ病の主要な症状のうち、患者さん自ら訴えのあったものと、医師が問診によって引き出したものとの割合です。疲労感・倦怠感については患者さんからの訴えが多く見られますが、それ以外の症状については、ほとんど医師が問診によって引き出しており、患者さんは自分の症状をうまく医師に伝えられない傾向があります。特に精神症状については、ほとんどの患者さんが自分から医師に訴えられずにいます。

プライマリケアのためのうつ病診断Q&A, 北原出版: 1997