適応障害|こころの病気のはなし 一般編

トップページ 診療案内 各種プログラム こころのはなし 家族教室 スタッフ募集 サイトマップ English
こころのはなし

こころの病気のはなし > 一般編 > 適応障害

心の病気の種類

適応障害

● 症状

適応障害は、ストレスになる出来事に対して、抑うつ気分や不安、素行の障害などが生じる障害です。

だれしも、ストレスを感じることがあると、少なからず元気がなくなったり、イライラしたりしやすいものです。しかし、適応障害はストレスに対して不釣り合いなほど著しい苦痛を感じます。ちょっと気分が沈むだけではなく、仕事や学業、社会における役割を損なうほど重度の症状が現れるのです。

抑うつ気分を伴う場合は、ささいなたことで涙が出たり、絶望感を覚えたりします。不安を伴う場合は、動悸、神経過敏、焦燥感などが見られます。どちらも、不安症や抑うつ障害の診断基準を満たしません。

素行の障害は、他人の権利を侵害したり、社会のルールを無視したりすることを言います。例えば無断欠勤や破壊行為、危険運転、けんかなどです。

その他、攻撃的行動、お酒の飲み過ぎ、引きこもり、自律神経症状、不眠や自殺行為などが現れることもあります。成人の場合は、いくつもの症状を併せ持つことが少なくありません。

 

アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル『DSM-5』によると、適応障害はストレスの始まりから3カ月以内に症状が現れることが診断要件になっています。

比較的ありふれた障害で、一般人口における有病率は2〜8%です。男女比は2対1で女性に多く、とりわけ独身女性のリスクが高いことがわかっています。内科や外科などから精神科に紹介される患者さんのうち、50%近くが適応障害であるという報告もあります。

 

適応障害は、適切な治療が行われればよくなりやすい障害です。ほとんどの患者さんは、3カ月以内に元通りの精神状態に回復します。通常、原因となるストレスがなくなれば、6カ月以内に症状も治まります。治療が成功すると、患者さんは以前よりも精神的に強くなります。

しかし、ストレスとなる出来事が続く場合は、症状が慢性化するかもしれません。特に青年は回復まで時間がかかりがちで、そのまま気分障害や物質関連障害に陥る人もいます。

青年期の患者さんの自殺リスクを調べた研究があります。119人の適応障害の患者さんのうち、50%が入院直前に自殺を図り、60%が病院内で自殺を図っていました。物質乱用とパーソナリティ障害が併存していることが原因の1つと考えられています。また、他人の自殺を経験していることや、過去に精神科の病気の経験があることなども、自殺のリスクが高い一因のようです。

 

●他の病気との関係

適応障害には細かな診断基準がありません。症状が現れる前に具体的なストレスがあったかどうかが、他の疾患と区別する上で重要になります。

似た症状の疾患には、うつ病、短期精神病性障害、全般不安症、身体症状症、物質関連障害、素行症、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害などがあります。これらに定められた診断基準を満たす場合は、適応障害ではありません。ただし、適応障害とパーソナリティ障害の両方を満たす人はいます。

なお、大切な人との死別による抑うつや不安などは、正常な喪失反応であるため、適応障害には含まれません。

 

●原因

適応障害は、どのような程度のストレスでも原因になり得ます。よくある原因は、お金、人間関係(夫婦不和や離婚を含む)、体の病気です。いくつもの原因が複合している場合もあります。この障害はあらゆる年代で起こりえますが、最も多いのは青年期で、青年期によくある要因は学校の問題、親からの拒絶、親の離婚や物質乱用です。

 

●治療

精神療法

適応障害はストレスが原因であることがはっきりしているため、治療しなくても自然治癒すると考えられがちです。しかし、同様のストレスに置かれた人が同様の症状を呈するわけではなく、治療を必要とする患者さんも多く存在します。

精神療法は、適応障害において有効な治療手段です。集団療法は、同じストレスを抱えている患者さん同士が分かち合うことができ、特に有効な可能性があります。個人精神療法は、原因となるストレスについてじっくり考える機会になり、早期に解決できる手助けになります。

 

危機介入

危機的状況を脱するための短期治療です。面接を通して、患者さんの考え、気持ち、行動などをそのまま肯定したり(支持的技法)、必要な医療や福祉につなげる環境調整などを行ったりします。

 

薬物療法

適応障害に対する薬物療法の効果については、あまり研究されていません。しかし、短期間、特定の症状に対して薬物を使うことは妥当であると考えられています。例えば、パニック発作を起こしそうな重い不安のある患者さんには、ジアゼパムのような抗不安薬が効果的です。引きこもりや制止状態(何もしたくない、考えたくない)の患者さんには、短期間の精神刺激薬が功を奏すことがあります。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、心的外傷を負って悲嘆している患者さんに有効であることがわかっています。

 

※参考文献

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

『現代精神医学事典』(弘文堂)

 

こころのはなし こころの病気の知識 こころの病気のはなしこころの病気のはなし-2こころの病まめ知識福祉用語の基礎知識 お役立ち情報自立支援医療制度デイケア社会資源情報社会資源情報こころの健康アラカルトクリニック広場デイケア通信患者様の活動リンク集 トップページへ