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せん妄を伴う離脱状態

F1x.4 せん妄を伴う離脱状態

Withdrawal state with delirium

 

疾患の具体例

42歳、男性。アルコール依存症を治そうと、自助グループに参加しました。断酒を始めて3日ほどたった頃、体が震え、けいれんも起きるようになりました。また、見えないはずのものが見えたり、聞こえないはずの声が聞こえたりもします。それが怖くてたまらず、大声をあげて暴れてしまいました。医師に相談すると「せん妄を伴う離脱症状」と説明されました。

 

症 状

依存性物質をやめた時の離脱症状のなかには、せん妄を伴うものがあります。特に、アルコール離脱による振戦せん妄は、生命を脅かすことのある中毒性錯乱状態です。

主な症状は、脈が早くなったり、発熱したり、著しく汗をかくなどの「自律神経機能亢進」。あるいは、全身が大きく震える「振戦」、自分がどこにいるのかがわからなくなる「失見当識」、幻視や幻聴などです。本格的な症状が表れる前に、前駆症状が見られることがあります。典型的な例では、不眠、振戦、そして恐怖です。けいれんが先に表れることもあります。また、症状の古典的な三徴候として、意識混濁と錯乱、生き生きとした幻覚と錯覚。著しい振戦があげられます。妄想、激越(感情が高ぶって声が大きくなる)、不眠あるいは睡眠サイクルの逆転になる人もいます。

 

原 因

長い飲酒歴を持つ重度のアルコール依存症患者が断酒をした際、いわゆる禁断症状として生じるせん妄です。アルコールから完全に離脱した時に生じることもあれば、不完全な離脱で生じることもあります。人によっては、大量の飲酒期間中に症状が出現します。

 

経 過

通常は短期間で回復しますが、脱水や低栄養、糖尿病などの合併症がある場合は、命を失うこともあるため、十分な注意が必要です。

 

特 徴

アルコール依存症の離脱症状を発症する人のうち、振戦せん妄や重度の自律神経系過活動など劇的な症状が表れる割合は10%以下です。また、意識を失い、全身が硬直したりガクガクとけいれんしたりする「強直間代発作」を起こす人は3%以下です。

なお、大量のアルコール摂取をやめるか、減量して2〜4日目頃に出現し、通常3〜4日で回復するといわれています。しかし個人差が大きく、人によっては長期にわたります。

 

診断基準:ICD-10

記載なし

 

診断基準:DSM-5

アルコール離脱の「診断を支持する関連特徴」

錯乱状態や意識変容はアルコール離脱の中核的な基準ではないが、アルコール離脱せん妄は離脱の状況下で起こるかもしれない。原因にかかわらず、いかなる興奮状態や錯乱状態にも当てはまることがあるが、離脱せん妄では意識障害および認知障害に加えて、視覚性、触覚性、まれに聴覚性の幻聴が出現しうる(振戦せん妄)。アルコール離脱せん妄を発症する時には、臨床的にその状態に対応する医学的疾患が存在していることもある。(例:肝不全、肺炎、消化管出血、頭部外傷後、低血糖、電解質異常、術後状態)。

鑑別診断

しばしば家庭内発生する障害である本態性振戦が、アルコール離脱に関連した振戦と誤られるかもしれない。

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

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