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こころの病気のはなし > 専門編 > 双極性感情障害 双極I型障害

双極性感情障害[躁うつ病]双極I型障害

F31 双極性感情障害[躁うつ病] Bipolar affective disorder

双極I型障害 Bipolar I Disorder

 

疾患の具体例

37歳、男性。内装業を営んでいました。18歳の頃にうつ病を患ったことがありましたが、その後は、大きな問題もなく過ごしてきました。しかし、1年ほど前から気分が不安定になりました。事業の業績は芳しくないにもかかわらず、「来年には日本を代表する会社になる」と真顔で語たり、返済の見込みの薄い借金や、不相応な設備投資をするようになりました。ほとんど睡眠をとらずに仕事や遊びに時間を割き、飲食店で隣り合わせた女性に声をかけて交際を持ちかけるなど、私生活の行動もやたら積極的です。そうした状態が4ヵ月ほど続いたかと思うと、かつてのうつ病をぶり返したように気分がしずみ、自殺を考えることもあります。仕事も遊びも手につきません。周囲は困惑し、顧客や有人も離れていきました。うつ状態の時に精神科クリニックを受診したところ、「双極I型障害」と診断されました。

 

特 徴

双極性障害は、躁病または軽躁病と、うつ病を交互に繰り返す障害です。以前は躁うつ病と呼ばれていました。躁病とうつ病を繰り返すものを「双極I型障害」、軽躁病とうつ病を繰り返すものを「双極U型障害」と分類されます。双極U型障害は、双極I型障害に比べて症状が軽いというわけではありません。双極U型障害であっても、うつ病の期間が長く、仕事ができないなど大きな社会生活上の不利益を伴うからです。

 

症 状

患者さんの気分と活動レベルが著しく乱れます。躁病または軽躁病の時は、気分が高揚し、エネルギーが満ちあふれて活動的になります。その時の気分は「世界の頂点にいる感じ」と表現されることもあります。公共の場で、見知らぬ人に話しかけて持論を展開したり、見境なく色んなことに没頭したりもします。早口で大げさな身ぶり手ぶりを伴う話し方をする傾向があります。本人の希望が否定されると怒りやすくなるのも特徴です。躁病エピソードは、社会的・職業的機能に大きな障害をもたらし、入院が必要な場合もあるほどです。

一方、うつ病の時は気分が低下し、エネルギーもわかず、普段通りの活動ができなくなります。自殺を考える人も少なくありません。

なお、双極性障害の約3/4に精神疾患が併発します。例えば、パニック発作、社交不安症、限局性恐怖症などです。注意欠如・多動症や、秩序を乱したり衝動を抑えられなくなったりする素行症(間欠爆発症、反抗挑発症、素行症)を併発する人もいます。他に、アルコール使用障害などなんらかの物質使用障害を併発する人は、双極I型をもつ人の過半数にみられます。メタボリックシンドロームや片頭痛など、身体的な疾病を併発する人もいます。

 

有病率

アメリカにおける1年間の有病率は0.6%でした(『DSM-IV』の双極I型障害)。11ヵ国でみると0.0〜0.6%です。生涯有病率の男女比は1.1:1で、男性のほうがやや多い傾向があります。

 

経 過

多くの場合、躁病エピソードは突然始まり、2週間〜4、5ヵ月間ほど続きます。持続期間の中央値は約4ヵ月です。うつ病の持続期間のさらに長く、中央値は約6ヵ月です。期間には個人差がありますが、高齢者を除いて1年以上続くことはまれです。中年期以降になると、うつ病が起こりやすく、長引きやすくなります。

また、双極I型障害で、最初の躁病、軽躁病、または抑うつを発症する年代は、おおむね18歳です。ただ、人によっては初発が60代あるいは70代のこともあります。中年期後半よりあとに躁症状が発症する場合、医学的疾患(前頭側頭型神経認知障害)や、物質(薬物など)の摂取または離脱を考慮して診断されます。

1年以内に4回以上の気分エピソード(抑うつ、躁病、または軽躁病)を繰り返す場合は、双極I型障害の中でも「急速交替型」に分類されます。

 

診断基準:ICD-10

記載なし

 

診断基準:DSM-5

● 躁病エピソード

A.気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的または易怒的となる。加えて、異常にかつ持続的に亢進した目標指向性の活動または活力がある。このような普段とは異なる期間が、少なくとも1週間、ほぼ毎日、1日の大半において持続する(入院治療が必要な場合はいかなる期間でもよい)。

B. 気分が障害され、活動または活力が亢進した期間中、以下の症状のうち3つ(またはそれ以上)(気分が易怒性のみの場合は4つ)が有意の差をもつほどに示され、普段の行動とは明らかに異なった変化を象徴している。

  1. 自尊心の肥大、または誇大
  2. 睡眠欲求の減少(例:3時間眠っただけで十分な休息がとれたと感じる)
  3. 普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする切迫感
  4. 観念奔逸、またはいくつもの考えがせめぎ合っているといった主観的な体験
  5. 注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないまたは関係のない外的刺激によって他に転じる)が報告される。または観察される。
  6. 目標指向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加。または精神運動焦燥(すなわち、無意味な非目標指向性の活動)
  7. 困った結果になる可能性が高い活動に熱中すること(例:制御のきかない買いあさり、性的無分別、またはばかげた事業への投資などに専念すること)

C. この気分の障害は、社会的または職業的機能に著しい障害を引き起こしている、あるいは自分自身または他人に害を及ぼすことを防ぐため入院が必要であるほど重篤である、または精神病性の特徴を伴う。

D. 本エピソード、物質(例:薬物乱用、医薬品、または他の治療)の生理学的作用、または他の医学的疾患によるものではない。

注:抗うつ治療(例:医薬品、電気けいれん療法)の間に生じた完全な躁病エピソードが、それらの治療により生じる生理学的作用を超えて十分な症候群に達してそれが続く場合は、躁病エピソード、つまり双極I型障害の診断とするのがふさわしいとする証拠が存在する。

● 軽躁病エピソード

A.気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的または易怒的となる。加えて、異常にかつ持続的に亢進した活動または活力のある、普段とは異なる期間が、少なくとも4日間、ほぼ毎日、1日の大半において持続する。

B. 気分が障害され、かつ活力および活動が亢進した期間中、以下の症状のうち3つ(またはそれ以上)(気分が易怒性のみの場合は4つ)が持続しており、普段の行動とは明らかに異なった変化を示しており、それらは有意の差をもつほどに示されている。

  1. 自尊心の肥大、または誇大
  2. 睡眠欲求の減少(例:3時間眠っただけで十分な休息がとれたと感じる)
  3. 普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする切迫感
  4. 観念奔逸、またはいくつもの考えがせめぎ合っているといった主観的な体験
  5. 注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないまたは関係のない外的刺激によって他に転じる)が報告される。または観察される。
  6. 目標指向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加。または精神運動焦燥
  7. 困った結果になる可能性が高い活動に熱中すること(例:制御のきかない買いあさり、性的無分別、またはばかげた事業への投資などに専念すること)

C. 本エピソード中は、症状のない時のその人固有のものではないような、疑う余地のない機能的変化と関連する。

D. 気分の障害や機能の変化は、他者から観察可能である。

E. 本エピソード、社会的または職業的機能に著しい障害を引き起こしたり、または入院を必要としたりするほど重篤ではない、もし精神病性の特徴を伴えば、定義上、そのエピソードは躁病エピソードとなる。

F. 本エピソードは、物質(例:薬物乱用、医薬品、あるいは他の治療)の生理学的作用によるものではない。

注:抗うつ治療(例:医薬品、電気けいれん療法)の間に生じた完全な軽躁病エピソードが、それらの治療により生じる生理学的作用を超えて十分な症候群に達して、それが続く場合は、軽躁病エピソードと診断するのがふさわしいとする証拠が存在する。しかしながら、1つまたは2つの症状(特に、抗うつ薬使用後の、易怒性、いらいら、または焦燥)だけでは軽躁病エピソードとするには不十分であり、双極性の素因を示唆するには不十分であるという点に注意を払う必要がある。

● 抑うつエピソード

A.以下の症状のうち5つ(またはそれ以上)が同じ2週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしている。これらの症状のうち少なくとも1つは、(1)抑うつ気分、または(2)興味または喜びの喪失である。

注:明らかに他の医学的疾患に起因する症状は含まない。

  1. その人自身の言葉(例:悲しみ、空虚感、または絶望感を感じる)か、他者の観察(例:涙を流しているようにみる)によって示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。 (注:子どもや青年では易怒的な気分もありうる)
  2. ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味または喜びの著しい減退(その人の説明、または他者の観察によって示される)
  3. 食事療法をしていないのに、有意の体重減少、または体重増加(例:1ヵ月で体重の5%以上の変化)、またはほとんど毎日の食欲の減退または増加(注:子どもの場合、期待される体重増加がみられないことも考慮せよ)
  4. ほとんど毎日の不眠または過眠
  5. ほとんど毎日の精神運動焦燥または制止(他者によって観察可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的でないもの)
  6. ほとんど毎日の疲労感、または気力の減退
  7. ほとんど毎日の無価値感、または過剰であるか不適切な罪責感(妄想的であることもある、単に自分をとがめること、または病気になったことに対する罪悪感ではない)
  8. 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる(その人自身の言葉による、または他者によって観察される)
  9. 死についての反復思考(死の恐怖だけではない)。特別な計画はないが反復的な自殺念慮、または自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画

B. その症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

C. そのエピソードは物質の生理学的作用、または他の医学的疾患によるものではない。

注:診断基準A〜Cにより抑うつエピソードが構成される。抑うつエピソードは双極I型障害でしばしばみられるが、双極I型障害の診断には必ずしも必須ではない。 注:重大な喪失(例:親しい者との死別、経済的破綻、災害による損失、重篤な医学的疾患・障害)への反応は、基準Aに記載したような強い悲しみ、喪失の反芻、不眠、食欲不振、体重減少を含むことがあり、抑うつエピソードに類似している場合がある。これらの症状は、喪失に際し生じることは理解可能で、適切なものであるかもしれないが、重大な喪失に対する正常の反応に加えて、抑うつエピソードの存在も入念に検討すべきである。その決定には、喪失についてどのように苦慮を表現するかという点に関して、各個人の生活史や文化的規範に基づいて、臨床的な判断を実行することが不可欠である。

● 双極I型障害

A.少なくとも1つ以上の躁病エピソード(上記「躁病エピソード」A〜D)に該当すること。

B. 躁病エピソードと抑うつエピソードの発症が、統合失調感情障害、統合失調症、統合失調症様障害、妄想性障害、または、他の特定されるまたは特定不能の統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害ではうまく説明されない。

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『IDC-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

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