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こころの病気のはなし > 専門編 > 適応障害

適応障害

適応障害とは、明らかなストレスによって、抑うつ気分、不安感、行動面での問題が引き起こされる障害のことを指します。

具体的なストレスとは、例えば職場における配置転換や転勤・定年、荷重労務、学生における受験や転校、または人間関係の亀裂、近親者との死別・離別等が挙げられます。これらのストレスによって、不安や気分の落ち込み・苛立ちなどが生じ、さらには不登校・出勤拒否、対人トラブルといった不適応な行動が引き起こされます。このようなストレス因子に対する反応が過度な場合にこの障害が診断されます。

 

疫 学

適応障害は精神科の中でも最も多い診断であるといわれています。精神科にかかっている患者を対象とした調査では、そのうちの10%が適応障害であることが分かっており、他の調査では総合病院において精神科に紹介された患者の13.8〜21.5%が適応障害であると示唆されました。男性と女性の比率に関しては、1:2で女性の方が多く、若い年齢に診断されることが多いといわれています。

 

病 因

適応障害の病因となるのはストレス因子(ストレスを引き起こす要因)によって引き起こされます。ストレス因子は単一の場合もあれば複合したもの、急性のものから慢性で持続性のものもあります。ストレスの重症度はその程度や量、持続する期間や個々人のストレス因子に対する耐性やストレス因子をどうとらえるかといったように、環境と個人との相互関係により決定されます。

 

症 状

症状としては大きく3つに分けられます。

(1)抑うつ症状

憂うつ・絶望・気持ちが沈むといった抑うつ気分、趣味や娯楽への興味が薄れ楽しめなくなる興味・喜びの喪失といった基本症状を伴います。また、表情や声に元気がなく、着衣の乱れが目立ったり、身体愁訴が生じたりもします。さらにはマイナス思考になり、自責的な考え方になります。

(2)不安症状

動悸・過呼吸や、その他の自律神経症状、集中困難などが挙げられます。

(3)行動上の障害

苛立ち、対人関係への過敏性、気力低下、思考力・集中力低下、落ち着きがなくなる、他人に対して攻撃的な態度をとることもあります。生活のうえでは、仕事の停滞や怠学、ひきこもりといった行動が生じることがあります。

 

治 療

適応障害に対する標準的な治療は今現在確立されてはいません。うつ病や不安障害の治療がしばしば役立つといわれています。

 

診断基準(Adjustment Disorder)

DSM-W-TR ICD-10

適応障害は,主要な症状に従って選択した病型に基づいてコード番号がつけられる.特定のストレス因子はW軸で特定することが出来る.

309.0  抑うつ気分を伴うもの

309.24 不安の伴うもの

309.28 不安と抑うつ気分の混合を伴うもの

309.3  行為の障害を伴うもの

309.4  情緒と行為の混合した障害を伴うもの

309.9 特定不能

 
  1. はっきり確認できるストレス因子に反応して,そのストレス因子の始まりから3ヶ月以内の情緒面または行動面の症状が出現

 

  1. これらの症状や行動は臨床的に著しく,それは以下のどちらかによって裏付けられている
  1. そのストレス因子に暴露されたときに予測されるものをはるかに超えた苦痛
  2. 社会的または職業的(学業上の)機能の著しい障害

 

  1. ストレス関連性障害は他の特定のT軸障害の基準を満たしていないし,すでに存在しているT軸障害またはU軸障害の単なる悪化でもない.
  2. 症状は,死別反応を示すものではない.
  3. そのストレス因子(またはその結果)がひとたび終結すると,症状がその後さらに6ヶ月以上持続することはない.
  1. 発症前1ヵ月以内に,心理社会的ストレス因子を体験した(並はずれたものや破局的なものではなくて)と確認されること.
  2. 症状や行動の障害の性質は,感情障害(F30-F39)(妄想・幻覚を除く)や,F40-F48の障害(神経症,ストレス関連性及び身体表現性障害),および行為障害(F91.-)のどれかにみられるものであるが,個々の障害の診断基準は満たさない.症状はその型も重症度においてもさまざまである. 前景をなす病像は第5桁の数字で特定される.

F43.20 短期的抑うつ反応

1ヶ月を越えない,一過性の軽度抑うつ状態

F43.21 遷延性抑うつ反応

ストレスの強い状況に長期にわたって曝された反応として出現する軽度抑うつ状態であり,持続期間は2年を越えない.

F43.22 混合性不安抑うつ反応

不安症状と抑うつ症状のいずれもが優勢であるが,混合性不安抑うつ障害(F41.2)や他の混合性不安障害(F41.3)に該当するほどの重度ではない

F43.23 主として他の情動の障害をともなうもの

主症状は,通常不安・抑うつ・心配・緊張・怒りなどといったさまざまなタイプの情動からなる.不安と抑うつの症状は混合性不安抑うつ障害や(F41.2)や,他の混合性不安障害(F41.3)の基準を満たすこともありうるが,他のさらに特定したうつ性障害や不安障害と診断されるほどに優勢ではない.夜尿や指しゃぶりなどといった退行した行動を示す小児の反応にも,このカテゴリーが用いられるべきである.

F43.24 主として行為の障害をともなう
   もの

主たる障害は,たとえば攻撃的または反社会的行動に至る青年期の悲哀反応のような行為を含む.

F43.25 情動及び行為の混合性の障害
   をともなうもの

情緒面の症状と行為障害の両者が優劣な病像である.

F43.28 他の特定の症状が優劣なもの

 

  1. この症状は,遷延性抑うつ反応(F43.21)を除いて,ストレス因の停止またはその結果の後6ヶ月以上持続しないこと.しかし,この診断基準がまだ満たされていない時点で,予測的に診断することはかまわない.

☆参考・引用文献
・精神医学ハンドブック 小此木啓吾・深津千賀子・大野裕編 1998 創元社
・知っておきたい精神医学の基礎知識 サイコロジストとコ・メディカルのために
 上島国敏・上別府圭子・平島奈津子編 2007 誠信書房
・カプラン精神医学ハンドブック 融道男他訳 2003 メディカルサイエンスインターナショナル
・DSM-W-TR精神疾患の診断・統計マニュアル 高橋三郎他訳 2003 医学書院
・ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン 融道男他監訳 医学書院

・ICD-10精神および行動の障害-DCR研究用診断基準 新訂版 中根充文訳 2008 医学書院

 

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