トップページ 診療案内 各種プログラム こころのはなし 家族教室 スタッフ募集 サイトマップ English
こころのはなし

こころの病気のはなし > 専門編 > 病的賭博

病的賭博 / ギャンブル障害

F63.0 病的賭博 Pathological Gambling

ギャンブル障害 Gambling Disorder

疾患の具体例

42歳、男性。仕事上のストレスからパチンコを始めたのをきっかけに、深くのめり込むようになりました。パチンコに負けたからといって懲りることなく、失ったお金を取り戻そうとがぜん熱中します。仕事をしていてもパチンコのことが頭を離れず、合間を見てこっそりパチンコ店に入ることもありました。それが会社に発覚して解雇され、生活費を失いましたが、やめることができません。妻に「このままでは一緒に生活ができない」といわれ、渋々、精神科クリニックを受診したところ「ギャンブル障害」と診断されました。

 

特徴

仕事や家庭を崩壊に至らしめるほど、ギャンブル(賭博)にのめり込む障害です。失ったお金を取り戻したいという切迫した欲求があり、高額な掛け金やリスクの高い賭博に熱中することが持続的かつ反復する状態を指します。賭博をしたいという強い衝動を自分で抑えることが困難で、常に賭博のことが離れなくなります。多額の借金を背負っても、嘘をついたり法律を犯してお金を得たり(詐欺、窃盗、または横領など)してまで、賭博を続けようとします。賭博によって絶望的な経済状況に陥ると、家族や他人に援助を求める「保釈行動」をとる人もいます。健康な人であれば、賭博で短期間の深追いをしても、一定程度で終わります。ギャンブル障害の場合は、それが頻回で長期間にわたるところが特徴的です。

ギャンブル障害のある人は、衝動的かつ競争心が旺盛で、精力的で落ち着かず、そして飽きやすい傾向があります。賭博に勝ったときは浪費といえるほどに気前がよいことがあります。一方、抑うつ的で孤独であり、無力感、罪悪感、もしくは抑うつを感じたときに賭博をする人もいます。

 

有病率

ギャンブル障害の有病率は、一般人口の0.2〜0.3%と報告されています。生涯有病率は0.4〜1.0%です。高齢者より若年者、中年者でより一般的で、青年期や若年成人においては女性より男性に多く見られます。ギャンブル障害の生涯有病率は女性が0.2%、男性は約0.6%とされています。高齢者はスロットマシーンやビンゴ賭博で問題を引き起こしやすいのに対し、若年者はスポーツ賭博などを好む傾向があります。

 

原 因

気質要因:小児期や青年期早期から始まる賭博では、ギャンブル障害に至る割合が増加する傾向があります。また、反社会性パーソナリティ障害、抑うつ障害、および双極性障害、そして他の物質使用障害、特にアルコール障害があると、ギャンブル障害になりやすい可能性があります。

遺伝要因と生理学的要因:ギャンブル障害は家族内で複数名に発症する場合があります。家庭環境、遺伝的要因の両方に関連しているようです。

 

経 過

ほとんどの人が、賭けの頻度や掛け金が徐々に増加します。ストレスや抑うつの時期、物質の使用または中断の時期に増加しやすい傾向があります。その反面、寛解する場合もあります。しかし、寛解後に再発することがあり、当人はその脆弱性を過小評価しがちです。寛解の時期に、自分は賭博を制限できると思い込み、結局は再び賭博へと回帰する人もいます。

また、若年期のギャンブル障害は衝動性や物質乱用と関連するようです。ギャンブル障害を発現した多くの高校生や大学生は、時間とともに障害から脱却しますが、中には一生の問題になる人達もいます。 ギャンブル障害の早期の発現は、女性より男性でより一般的ですが、症状の進行は女性のほうが早いといわれています。

 

治 療

ギャンブル障害の治療を求める割合は全年齢にわたって低く、10%未満にとどまるとされています。特に、若年者は治療を求めないようです。女性は早く治療を求めますが、それもわずかな割合です。治療をしている人の半数は自殺念慮を持ち、17%に自殺企図があったとも報告されています。

 

診断基準:ICD-10

本障害の本質的な特徴は、持続的に繰り返される賭博であり、それは貧困になる、家族関係が損なわれる、そして個人的生活が崩壊するなどの、不利な社会的結果を招くにもかかわらず、持続し、しばしば増強する。

 

診断基準:DSM-5

A. 臨床的に意味のある機能障害または苦痛を引き起こすに至る持続的かつ反復性の問題賭博行動で、その人が過去12カ月に以下のうち4つ(またはそれ以上)を示している。

  1. 興奮を得たいがために、掛け金の額を増やして賭博をする要求。
  2. 賭博をするのを中断したり、または中止すると落ち着かなくなる、またはいらだつ。
  3. 賭博をするのを制限する、減らす、または中止するなどの努力を繰り返し成功しなかったことがある。
  4. しばしば賭博に心を奪われている(例:過去の賭博体験を再体験すること、ハンディをつけること、または次の賭けの計画を立てること、賭博をするための金銭を得る方法を考えていること、を絶えず考えている)。
  5. 苦痛の気分(例:無気力、罪悪感、不安、抑うつ)のときに、賭博をすることが多い。
  6. 賭博で金をすった後、別の日にそれを取り戻しに帰ってくることが多い(失った金を“深追いする”)。
  7. 賭博へののめり込みを隠すために、嘘をつく。
  8. 賭博のために、重要な人間関係、仕事、教育、または職業上の機会を危険にさらし、または失ったことがある。
  9. 賭博によって引き起こされた絶望的な経済状況を免れるために、他人に金を出してくれるよう頼む。

 

B. その賭博行動は、躁病エピソードではうまく説明されない。

 

※参考文献

『IDC-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

こころのはなし こころの病気の知識 こころの病気のはなしこころの病気のはなし-2こころの病まめ知識福祉用語の基礎知識 お役立ち情報自立支援医療制度 ソーシャルワーカーよりデイケアこころの健康アラカルトクリニック広場デイケア通信リンク集 トップページへ