トップページ 診療案内 各種プログラム こころのはなし 家族教室 スタッフ募集 サイトマップ English
こころのはなし

こころの病気のはなし > 専門編 > 統合失調質パーソナリティ障害

統合失調質パーソナリティ障害

F60.1 統合失調質パーソナリティ障害

統合失調型パーソナリティ障害

Schizoid personality disorder

疾患の具体例

24歳、男性。「うつ病ではないか」と訴え、精神科クリニックを受診しました。しかし、医師が問診をすると、やけに大げさで細部にこだわる話し方、落ち着きのなさが目立ちます。着ている服は食べこぼしと見られる大きな汚れがついており、「家族以外に親しい友人はおらず、職場でも孤立している」と、平然とした表情で話しました。周囲はみんな自分をバカにしており、信用ならないと語気も荒く語ります。こうした状況は小学生の頃から続いていたそうです。医師は、さらに詳しく話を聞いた上で「統合失調質パーソナリティ障害」と診断しました。

 

特徴

この障害のある人は、しばしば「関係念慮」を持ちます。人間関係における偶然の出来事に対して、間違った解釈をしたり、独特の意味づけをしたりするのです。例えば、家族が犬を散歩に連れ出した時に「1時間前にそうすべきと自分が考えた結果だ」と信じるなどが挙げられます。自分には出来事を察知したり、他人の考えを読み取ったりする特殊能力があると感じている場合があります。

時として、周囲を魔術的に制御できると信じていることもあります。悪い結果を避けるために、郵便ポストの前を3回往復するなど、独自の儀式を行う人もいます。

誰もいないところで別の誰かがいるように感じたり、自分の名前をつぶやく声が聞こえたりするなど、「知覚変容」を訴えるケースも少なくありません。他人に対して疑い深く「妄想様観念」を持ちやすい傾向があります。例えば、会社の同僚と上司が自分の評判を傷つけようとしている、などと疑うのです。

慣れない人々と過ごす状況では落ち着かない「社交不安」があるため、不自然な態度を取っているように見えがちです。異常なわざとらしさ、汚れた服や明らかにサイズが合わない服を着ているなど、その場の状況に合わない行動をすることがあります。また、親しくなった人と長時間過ごしても気が休まりません。夕食会などに出席すると、時間がたつにつれてくつろいでくるのはなく、ますます緊張して疑い深くなる傾向が見られます。話し方も独特で、全体的に間延びした言い方だったり、話の途中で脱線したり、あいまいだったりします。

こうしたことから、統合失調質(型)パーソナリティ障害の人は対人関係をうまく築くことが苦手です。親族以外に親しい友達がまったくいないか、ほとんどいないことが多く見受けられます。本人も、対人関係を煩わしいものとして経験しており、他人と関係を持つことを不快と感じているケースがしばしばあります。「自分は変わっていて、ただ調子が合わない」としか感じないため、一人きりになるほうを好む人もいます。口では「友達もいなくて不幸だ」などと言うかもしれませんが、はた目からは親しい接触をあまり望んでいないように映ります。

なお、この障害を持つ人は、不安、抑うつ、または他の不快な感情など関連症状に対して治療を求めます。特にストレスに敏感で、短い精神病エピソードを経験する人もいます。

 

有病率

有病率は、ノルウェーの調査による0.6%からアメリカの調査による4.6%の範囲にあると報告されています。

 

経 過

最初は孤立、仲間関係の乏しさ、社交不安、学業成績不振、過敏さ、変わった思考や言葉、および奇異な空想などの症状が現れます。小児期や青年期に明らかになることが多く、周囲から奇妙または風変わりに見えて、いじめの対象になる場合もあります。どちらかといえば、男性に多いと言われています。なお、経過は比較的安定しており、統合失調症または他の精神病性障害に発展する人はわずかです。

 

原 因

統合失調質(型)パーソナリティ障害は、同じ家族内で複数の人に生じやすい可能性があります。最初に発症した人の親族には、統合失調症や他の精神病性障害も多いと考えられています。

 

診断基準:ICD-10

以下の記述を満たすパーソナリティ障害

  1. 何らかの活動をしても、ほとんど喜びが得られないこと。
  2. 感情的な冷淡さ、無関心な態度あるいは平板化した感情を示すこと。
  3. 他人に対するあたたかい優しい感情や怒りの表出の乏しいこと。
  4. 称賛にも批判にも無関心なこと。
  5. 他人と性的関係を持つことにわずかしか興味を示さないこと(年齢を考慮すると)。
  6. ほとんどいつも孤立した活動を好んで選ぶこと。
  7. 過度に空想や内省に没頭すること。
  8. 親密な友人や信頼できる人間関係を持たず(またはたった一人だけ)、またそれを望みもしないこと。
  9. 支配的な社会的規範および習慣に対して著しく鈍感なこと。

 

診断基準:DSM-5

A. 親密な関係では急に気楽でいられなくなること。そうした関係を形成する能力がたりないこと。および認知的または知覚的歪曲と風変わりな行動で特徴づけられる、社会的および対人関係的な欠陥の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。

  1. 関係念慮(関係妄想は含まない)
  2. 行動に影響し、下位文化的規範に合わない奇異な信念、または魔術的思考(例:迷信深いこと、千里眼、テレパシー、または“第六感”を信じること;子どもおよび青年では、奇異な空想または思い込み)。
  3. 普通ではない知覚体験、身体的錯覚も含む。
  4. 奇異な考え方と話し方(例:あいまい、まわりくどい、抽象的、細部にこだわりすぎ、紋切り型)
  5. 疑い深さ、または妄想様観念。
  6. 不適切な、または収縮した感情。
  7. 奇妙な、風変わりな、または特異な行動または外見。
  8. 第一度親族以外には、親しい友人または信頼できる人がいない。
  9. 過剰な社交不安があり、それは慣れによって軽減せず、また自己卑下的な判断よりも妄想的恐怖を伴う傾向がある。

 

B. 統合失調症、「双極性障害または抑うつ障害、精神病性の特徴を伴う」、他の精神病性障害、または自閉スペクトラム症の経過中にのみ起こるものではない。

 

※参考文献

『IDC-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

こころのはなし こころの病気の知識 こころの病気のはなしこころの病気のはなし-2こころの病まめ知識福祉用語の基礎知識 お役立ち情報自立支援医療制度 ソーシャルワーカーよりデイケアこころの健康アラカルトクリニック広場デイケア通信リンク集 トップページへ