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演技性パーソナリティ障害

演技性パーソナリティ障害は、他人の関心や注目に過剰な関心をおくタイプのパーソナリティ障害で、関心や注目を求めるあまり、自分を損なったり、信用をなくしてしまうようなことをしてしまうこともあります。

このパーソナリティ障害は、外見や性的魅力に重大な関心を寄せます。そのことが自分の価値だと思っているのです。「小悪魔」という言葉がブームになったりしましたが、実は小悪魔というのは、まさに「演技性パーソナリティ障害」の典型的な一つのタイプだと言えるのです。演技性の人の場合は.うつや不安障害が少なくありません。内面に脆い部分や傷つきやすい部分をかかえていることが多く、表面は明るく魅力的に振る舞うのですが、急に塞ぎ込んだり、空虚感に襲われたり、不安でたまらなくなったりするのです。

演技性パーソナリティ障害の歴史は古く、四千年前に遡れると述べている文献もあります。かつては「ヒステリー」と呼ばれていたものがそれに近い概念でした。ヒステリーのすべてではありませんが、一部には演技性パーソナリティ障害がベースにある場合があります。そうした場合には、とても人目を惹く派手な状態が出現しやすいと言えます。

 

定義

演技性パーソナリティ障害の患者は、仰々しく、芝居がかり、興奮しやすく、過剰反応を含む行動が特徴です。

これらの行動には注意を引くという意図があります。患者は依存的で未熟であることが多く、誘惑的なこともあります。患者が長期にわたって深い愛着を維持することは、不可能なことが多いです。

疫学

  1. 演技性パーソナリティ障害の有病率は2〜3%です。治療中の患者のうち10〜15%がこの障害を有するとの報告があります。
  2. 男性より女性で有病率が高いですが、おそらく男性では診断率が低いのであろうと考えられます。
  3. このパーソナリティ障害は、身体化障害、気分障害、アルコールの有害な使用を伴うことがあります。

 

原因

  1. 発達早期の対人関係における困難が演技的な振る舞いによって解決された既往が考えられます。
  2. よそよそしい、あるいは厳格な父親と、人目を引く母親という組み合わせは、基本的家族類型の1つかもしれません。

 

精神力動論

  1. 典型的には、「役を演ずる」という空想があります。感動しやすさ、演技的行動様式が伴います。
  2. 共通した防衛規制に抑圧、退行、同一視、身体化、転換、解離、否認、外在化があります。
  3. 同性の親に対する誤った同一化と異性の親への両価的かつ誘惑的な関係が観察されることが多いです。
  4. 性器期早期への固着。
  5. 顕著な口唇傾向。
  6. 他者に対して誘惑的に振る舞うが、性的なものへの恐怖があります。

 

診断

演技性パーソナリティ障害の患者は協力的であることが多く、援助を心待ちにしています。会話中のしぐさや芝居がかった話の区切り方がよく見られ、言葉違いは華やかです。

認知機能テストは普通正常です。しかし、算数タスクや集中力のタスクを行うと、我慢づよくないことが示されることもあります。

表出された感情は浅薄であるか、または不誠実であり、患者は感情を交えた事柄について忘れっぽいこともあります。

注意を引くために考えや感情を大げさに強調する傾向があり、求めている注意を引けないときにはかんしゃくを起こし、泣き、非難を口にします。患者は常に保証されることを求めており、対人関係は表面的になりがちです。

 

鑑別診断

  1. 境界性パーソナリティ障害 絶望、自殺•自傷傾向がより明瞭です。両疾患は共存することもあります。
  2. 身体化障害 身体的な訴えがより前景に立ちます。
  3. 転換性障害 身体症状がより目立ちます。
  4. 依存性パーソナリティ障害 感情的な仰々しさを欠きます。

 

経過と予後

さまざまです。加齢とともに症状が減る事が多いですが、若い頃の活力が失われていますので、実際には見掛けほど症状が減っていないことがあります。

身体化障害、転換性障害、解離性障害、性機能障害、気分障害、物質乱用が合併することがあります。

 

治療

6〜8歳の間にチックが始まった患児の予後が最もよいです。症状は、ふつう4〜6年続き、青年期早期には止みます。チックが四肢や体幹におよぶ患児の予後は、顔面チックのみの患児よりもよくないことが多いです。

  1. 精神療法
    演技性パーソナリティ障害の患者は自分の真の感情に気づいていないことが多いため、それを明らかにすることは治療過程に欠かすことができません。ふつう、個人精神療法を用います。洞察を求めるか、または支持的に行うかは、自我強度によります。患者の深部感情とそれに抗う防衛機制としての浅薄な演技の焦点が合わせられます。
  2. 薬物療法
    症状を標的とする場合、薬物療法を補助的に用います。抑うつと身体症状に対して抗うつ薬が有効なことがあります。不安に対して抗不安薬が有用です。抗精神病薬が現実感喪失や錯覚に対して使われることがあります。

 

診断基準

DSM-W-TR ICD-10
コード番号301.50
演技性パーソナリティ障害
(histrionic personality disorder)
コード番号F60.4
演技性パーソナリティ障害
(histrionic personality disorder)

過度な情緒性と人の注意を引こうと する広範な様式で、成人期早期ま でに始まり、種々の状況で明らかに なる。以下のうち5つ(またはそれ以 上)によって示される。

  1. 自分が注目の的になっていない 状況では楽しくない。
  2. 他者との交流は、しばしば不適 切なほど性的に誘惑的な、または 挑発的な行動によって特徴づけら る。
  3. 浅薄ですばやく変化する感情表 出を示す。
  4. 自分への関心を引くために絶え ず身体的外見を用いる。
  5. 過度に印象的だが内容がない 話し方をする。
  6. 自己演劇化、芝居がかった態度 、誇張した情緒表現をする。
  7. 非暗示的、つまり他人または環 境の影響を受けやすい。
  8. 対人関係を実際以上に親密な ものとみなす。

以下によって特徴づけられるパー ソナリティ障害。

  1. 自己の演劇化、芝居がかった態 度、感情の誇張された表出。
  2. 他人や周囲からの容易に影響 を受ける非暗示性。
  3. 浅薄で不安定な情緒。
  4. 興奮および自分が注目の的に なるような行動を持続的に追い求 めること。
  5. 不適切なほど誘惑的な外見や 行動をとること。
  6. 身体的魅力に過度に関心をもつこと。

関連病像として自己中心性、自分 勝手、理解されたいという熱望の持 続、傷つきやすい感情、および自分 の欲求達成のために他人を絶えず 操作する行為が含まれる。

<含>ヒステリー性および精神幼児 性パーソナリティ(障害)

【参考・引用文献】

・カプラン精神医学ハンドブック 融道男他訳 2010 メディカルサイエンスインターナショナル

・パーソナリティ障害がわかる本 岡田尊司 2006 法研

・ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン 融道男他監訳 2009 医学書院

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