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自己愛性パーソナリティ障害

自己愛性パーソナリティ障害は、自分は特別な存在だという肥大した自己意識(誇大自己)を持つ事を特徴とするパーソナリティ障害です。

「偉大な自分」にふさわしい華々しい成功を夢想したり、他人に対して過度に尊大な態度を取ったり、特別扱いを求めますが、相手の気持ちには無頓着になりがちです。自己愛性パーソナリティやその傾向を持った人は、現代社会では非常に多くなっています。そのすべてが自己愛性パーソナリティ障害というわけではなく、そのなかで極端にバランスを欠き、生活に支障をきたしている場合だけが当てはまります。

それに対して、社会生活や職業生活にもその長所を活かしてうまく適応している場合は、自己愛性パーソナリティ•スタイルということになり、一つの個性だと言えます。

 

定義

誇大性、自己尊重の肥大化、究極の成功への没頭、批判への大仰な反応、自己評価と自己イメージへの過度の関心、対人関係の障害という行動様式が持続します。

 

疫学

  1. 確認されている有病率は一般人口の1%未満。
  2. 受療人口での有病率は2〜16%。
  3. 女性よりも男性に多いです。
  4. 家族内発症が疑われています。

 

原因

よく引き合いに出される要因に、発達早期における拒絶や喪失によって母親からの共感を受けた経験が乏しいことが関連しているという説があります。

 

精神力動論

誇大性と共感性の欠如は原始的攻撃性に対抗する防衛機制です。誇大性は一般に劣等感の代償と考えられています。

 

診断

自己愛性パーソナリティ障害の患者は、自己の重要性について、空想、実生活を問わず、尊大な感情を有しています。患者は過度の賞賛を必要とし、共感性を欠き、慢性的で激しい羨望を持つことが多いです。

批判や敗北に上手く対応できず、憤怒または抑うつをきたします。自尊心と対人関係の脆弱さが明らかです。患者の行動の結果、対人関係の困難、職業上の困難、拒絶、喪失が生ずることが多いです。

 

鑑別診断

  1. 反社会性パーソナリティ障害 法律や他者の権利を露骨に軽視します。
  2. 妄想型統合失調症 明らかな妄想があります。
  3. 境界性パーソナリティ障害 患者の示す感情と不安定さはずっと強烈です。
  4. 演技性パーソナリティ障害 より感情を表に出します。

 

経過と予後

このパーソナリティ障害は慢性の経過をたどり、治療が難しいです。

加齢は自己愛にとっての損傷であり、扱いがきわめて難しいです。したがって、患者は壮年期危機(midlife crisis)のダメージを受けやすいです。

気分障害、一過性精神病性障害、身体表現性障害、物質使用障害の合併がありえます。全般的予後には安易な期待はできません。

 

治療

精神療法

治療の進展のためには患者が自己愛と決別する必要がありますが、そのため治療はかなり困難です。効果を上げるためには精神分析的アプローチを勧める治療者もいますが、さらなる研究が必要です。集団精神療法は、他者に対する共感的反応を発展させ他者との共有を促進する点において、有効性が示されています。

薬物療法

炭酸リチウムは、気分の動揺(mood swing)のある患者に有用です。抗うつ薬、特にセロトニン作動薬は、抑うつに有効と考えられています。

 

診断基準

(ICD-10だとF60.8「他の特定のパーソナリティ障害」に分類)

DSM-W-TR

コード番号301.81

自己愛性パーソナリティ障害(narcissistick personality disorder)

誇大性(空想または行動における)、賞賛されたいという欲望、共感の欠如の広域な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況 で明らかになる。

以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示され る。

  1. 自己の重要性に関する誇大な感覚(例:業績や才能を誇張する、十分な業績がないのにもかかわらず優れていると認められる ことを期待する)。
  2. 限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空 想にとらわれている。
  3. 自分が"特別"であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人達に(または団体で)しか理解されない、または関係がある べきだと、と信じている。
  4. 過剰な賞賛を求める。
  5. 特権意識、つまり、特別有利な取り計らい、または自分の期待に自動的に従うことを理由なく期待する。
  6. 対人関係で相手を不当に利用する、つまり、自分自身の目的を達成するために他人を利用する。
  7. 共感の欠如:他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない、 またはそれに気づこうとしない。
  8. しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込む。
  9. 尊大で傲慢な行動、または態度。

【参考・引用文献】

・カプラン精神医学ハンドブック 融道男他訳 2010 メディカルサイエンスインターナショナル

・パーソナリティ障害がわかる本 岡田尊司 2006 法研

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