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最重度精神遅滞[知的障害]

F73 最重度精神遅滞[知的障害] Profound mental retardation

 

疾患の具体例

21歳、男性。生後、数ヵ月がたっても首が据わらず、寝返りをしたり、座ったり立ったりすることもできず、標準的な発達に比べて明らかな遅れが見られました。母親の声に反応することもありません。乳児健診で最重度精神遅滞と診断されました。日常生活のすべてにおいて、家族やヘルパーの支援を受けています。自分で動くことができないため、普段はベッドか車いすの上で過ごしています。それでも、音楽をかけたり、テレビをつけたりすると喜び、楽しそうにして家族とコミュニケーションをとります。

 

特徴

最重度精神遅滞はIQが20未満と定義されています。周囲の人の要求を理解したり、それに応じたりする能力が極めて難しい状態です。ほとんどの人に、何らかの器質的病因が見られます。てんかんや視覚と聴覚の障害、重度の神経学的あるいは身体的障害によって、自分で動くことができません。食事や排泄など、身のまわりのことは全て介助が必要です。自分で動くことができる人は、広汎性発達障害(特に非定型自閉症)が多く見られます。

コミュニケーションは、身振りや非言語的な会話がほとんど唯一の手段となります。最もよい状態では、基本的指示を理解し、単純な要求を言うことができます。

 

有病率

精神遅滞全体の1〜2%です。

 

経過

基本的には、日常のすべてにおいて介助が必要で、成人になってからも続きます。しかし、適切なトレーニングを受けることによって、いくつかの自己管理技能を覚えたり、自分の要求を伝えられるようになったりする人もいます。重い身体障害がなければ、ごく簡単な家事を手伝うことができる場合があります。

 

診断基準:ICD-10

IIQは20未満である。言語の理解と使用は、最もよくても基本的指示を理解し、単純な要求を言うことに限られている。仕分けすることとマッチング(照合)することのような、最も基本的で単純な視空間の技能は獲得できることもある。適切な管理と指針によって、家庭で実際的な課題のわずかな部分をすることができることもある。ほとんどの者で器質的病因を同定することができる。てんかんおよび視覚と聴覚の障害と同様に、移動の障害のある重度の神経学的あるいは他の身体障害もふつうにみられる。最も重症型の広汎性発達障害、とくに非定型自閉症は、動くことのできる者にとくに多い。

 

診断基準:DSM-5

概念的領域

概念的な技能は通常、記号処理よりもむしろ物理的世界に関するものである。自己管理、仕事、および娯楽において、目標指向的な方法で物を使用するかもしれない。物理的特徴に基づいた照合や分類など、視空間技能が習得されるかもしれない。しかし、運動と感覚の障害が併発していると、物の機能的な使用を妨げるかもしれない。

社会的領域

会話や身振りにおける記号的コミュニケーションの理解は非常に限られている。いくつかの単純な指示や身振りを理解するかもしれない。自分の欲求や感情の大部分を非言語的および非記号的コミュニケーションを通じて表現する。よく知っている家族、世話する人、および親しい人との関係を楽しみ、身振りおよび感情による合図を通して、反応する。身体および感覚の障害が併発していると、多くの社会的な活動が妨げられるかもしれない。

実用的領域

日常的な身体の世話、健康、および安全のすべての面において他者に依存するか、これらの活動の一部にかかわることが可能なことがあるかもしれない。重度の身体的障害がなければ、食事をテーブルに運ぶといった家庭での日常業務のいくつかを手伝うこともある。物を使った単純な行動は、いくらかの職業活動参加への基盤となるかもしれないが、それは高水準の継続的な支援を伴った場合である。娯楽的な活動は、例えば音楽鑑賞、映画鑑賞、散歩、あるいは水遊びへの参加などもありうるが、すべてで他者の支援を必要とする。身体および感覚の障害を併発すると、しばしば家庭的、娯楽的、および職業的な活動へ参加すること(見ているだけでない)の障壁となる。不適応行動が、少数ではあるが意味のある数として存在する。

 

※参考文献

『IDC-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト』(メディカルサイエンスインターナショナル)

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