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受容性言語障害/言語症/言語障害

F80.2 受容性言語障害 Receptive language disorder

言語症/言語障害 Language disorder

 

疾患の具体例

2歳、男児。年齢の割に言葉が遅く、いまだにはっきりした単語や語句を話すことができません。周囲が簡単な言葉を教えようとしても、真似したり、自分で口にしたりすることはほとんどありません。母親に対しても言葉でコミュニケーションをとろうとする様子が薄く、内気で物静かな子どものように見えます。医師によると、知的能力には問題がなく、「受容性言語障害」であると診断されました。

 

特徴

受容性言語障害は、言語の理解が同年齢の水準を下回る障害です。事実上すべての症例で、表出性言語(言葉の使用)も著しく障害され、うまく話すことができません。語彙、構文、話法(一連の出来事を説明したり、言葉を組み立てて文章を作ったりすること)が理解できないため、言語の習得や使用が難しいのです。初めて単語や語句を話す時期が遅れがちで、語彙の数も少なく、多様性に欠けます。話し始めたとしても、文法を誤った短く単純な言葉です。長い文章で話すことや、いくつもの言葉を繰り返すこと、順序立てて話すことが苦手です。そのため、学校の成績や、社会に出てからの就業的能力、社交上のコミュニケーションに著しい支障をきたします。

会話に際して消極的で、周囲からは無口な子どものように見えることがあります。実際、家族または他の親しい人とのみ会話しようとする子どももいます。

 

経過

受容性言語障害は、話し言葉や書字によるコミュニケーションが始まった頃から明らかになります。治療を抵抗する傾向があり、典型的には成人期になってからも障害が持続します。仲間から孤立し、物事に対して不安を感じたり、過敏に反応したりしやすい傾向があります。

 

原因

言語症は遺伝性が多く、家族が言語障害の病歴を持っていることが多いとされています。

 

診断基準:ICD-10

満1歳までに(非言語的な手がかりのないときに)よく知っている名称に反応することができないこと、18ヵ月になっても、2、3のありふれた物さえも同定できないこと、あるいは2歳までに簡単な決まり切った指示に従うことができないことは、遅滞の明らかな徴候と考えなければならない。その後の困難として、文法構造を理解できないこと(否定文、疑問文、比較文など)、言葉のより微妙な側面の理解に欠けること(声色、気配など)が含まれる。

診断は、受容性言語における遅滞の重症度がその小児の精神年齢の正常範囲を超え、しかも広汎性発達障害の基準がみたされていないときにのみくだされるべきである。ほとんどすべての症例において、表出性言語の発達も非常に遅れ、言語の産出の異常も通常見られる。さまざまな会話および言語の特異的発達障害の中で、この障害はもっとも高率に社会的、情緒的、行動上の障害を伴うものである。その際の障害は特定の形をとらないが、多動と、不注意、不適切な社会的行動と仲間からの孤立、そして不安、過敏性、あるいは過度な内気はすべてかなり頻度が高いものである。最重症な受容性言語障害の小児では、社会的な発達に何らかの遅れがあったり、理解できない言葉をおうむ返しにしたり、興味のパターンが限られていることがある。しかしながら、彼らは通例、正常な社会的相互関係、正常なごっこ遊び、普通の程度の親への甘え、ほぼ正常な身振りの使用、非言語的なコミュニケーションのごく軽度な障害を示す点で、自閉症児とは異なる。ある程度の高音領域の聴覚損失はまれではないが、難聴の程度は言語障害を説明するには不十分である。

 

診断基準:DSM-5

A. 複数の様式の(すなわち、話す、書く、手話、あるいはその他)言語の習得および使用における持続的な困難さで、以下のような言語理解または言語産出の欠陥によるもの。

  1. 少ない語彙(単語の知識および使用)
  2. 限定された構文(文法および語形論の規則に基づいた文章を形成するために、単語と語の末尾を配置する能力)
  3. 話法(1つの話題や一連の出来事を説明または表現したり、会話をしたりするために、語彙を使用し文章をつなげる能力)における障害

B. 言語能力は年齢において期待されるものより本質的かつ量的に低く、効果的なコミュニケーション、社会参加、学業成績、または職業的能力の1つまたは複数において機能的な制限をもたらしている。

C. 症状の始まりは発達期早期である。

D. その困難さは、聴力またはその他の感覚障害、運動機能障害、または他の身体的または精神学的疾患によるものではなく、知的能力障害(知的発達症)または全般的発達遅延によってはうまく説明されない。

※参考文献

『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト』(メディカルサイエンスインターナショナル)

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