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素行障害

近年、児童・思春期における暴力事件や重大犯罪に関する問題が取り上げられることが多く、その一部に素行障害(Conduct Disorder)という診断がつけられることがあります。

素行障害は、反復して持続する反社会的、攻撃的あるいは反抗的な行動パターンを特徴とし、年齢相応に社会から期待されるものを大きく逸脱しているものです。診断の基準となる行動は、過度の喧嘩、放火、盗み、繰り返しの嘘、学校のずる休みと家出、所有物へのひどい破壊行為、反発的で挑発的な行動、持続的な激しい反抗などで、これらの行動が6か月以上持続していなければなりません。

成因に関しては双生児研究と養子研究から環境と遺伝の両方に成因があるとされています。環境的要因としては、親の子どもに対する拒絶や無視、母性的養育の欠如、厳しすぎるしつけ、身体的虐待などが指摘されています。生物学的要因として、副腎由来のアンドロゲンであるデハイドロエピアンドロステロン(dehydroepiandrosteron)(DHEA)が攻撃性と関連しており、CDにおいて高値を示すことが報告されています。また、中枢神経の機能障害や損傷によって衝動性、情緒不安定、性格変化などが出現した場合、素行障害を併発する場合があります。AD/HDに素行障害が併発してくる場合もあり注意を要します。

DSM-IV-TRでは、破壊的行動障害(disruptive behavior disorder)のなかで扱われ、反抗挑戦性障害と素行障害の2つの持続的な破壊的症候群に大きく分類されています。これらは小児の社会機能と学業を損なうとされています。

以下、DSM-IV-TRに沿って、素行障害、反抗挑戦性障害、特定不能の破壊的行動障害を解説していきます。

 

素行障害(conduct disorder)

【特徴】

攻撃性と他者の権利の侵害が特徴です。DSM-IV-TRでは、15の行動のうち3つの特定の行動が13歳よりも前に始まることが求められています。15の行動リストには、いじめ、他者への脅迫や恫喝などが含まれています。

【診断】

患児は、他者の基本的な権利や社会的規範、規則を侵害するという反復的様式を示す。反社会的行動には、いじめ、身体的な攻撃性、仲間に対する残酷な仕打ちなどが含まれます。患児は敵意に満ち、口汚く、食ってかかることがあります。

絶え間ない虚言、ずる休み、破壊行為も多いです。重症例では、盗みや身体的暴力がみられます。ふつう、相手を選ばない性行為(promiscuity)やタバコ使用、違法薬物の使用が早期に始まります。自殺念慮やそのそぶり、自殺行為は頻繁にあります。

【疫学】

  1. 研究によれば有病率は1〜10%の間にあります。
  2. 男女比は4:1から12:1の間にあります。

【原因】

  1. 多因子によります。
  2. 不適応的で攻撃的な行動には、不安定な家族、身体的・性的虐待、社会経済的要因、養育放棄が関連しています。
  3. ADHD、学習障害、コミュニケーション障害が併存することが多いです。
  4. 一部の患児の血清でドパミンβヒドロキシラーゼ濃度が低いことがあります。セロトニン濃度の異常が指摘されています。

【鑑別診断】

  1. 反抗挑戦性障害 敵意と拒絶は他者の権利をひどく侵害するには至らない。
  2. 気分障害 易刺激性と攻撃的行動を示す小児に生ずることがしばしばある。
  3. 大うつ病性障害と双極1型障害 必ず除外せよ。
  4. ADHD 衝動的、攻撃的行動はあまり重度ではない。

【経過と予後】

若年の患児や、症状の個数の多い者、症状を示す頻度の高い者では、予後は慎重を要します。重症例はその後に併存障害を呈しやすく、例えば物質使用障害や気分障害があります。軽症例で合併する精神症状がなく、知的機能が正常であれば、良好な予後が予見されます。

【治療】

  1. 精神療法
    個人精神療法、家族療法、両親教室、個別指導(tutoring)、特定の興味を育むことなどが含まれます。状況によっては自宅を離れることが必要となるかもしれません。
  2. 薬物療法
    重度の攻撃的行動の制御のため、抗精神病薬、例えばハロペリドール、リスペリドン、オランザピンが有益です。リチウムは、双極性障害の併存の有無にかかわらず一部の攻撃的な患児に有効です。併存するADHDに刺激薬が使われることもあります。

 

反抗挑戦性障害(oppositional defiant disorder)

【特徴】

否定的な態度や敵意に満ちた行動の様式が持続しますが、社会的規範や規則の深刻な侵害はありません。

【診断】

挑戦的で怒りに満ちた行動や否定的態度を示す傾向が、少なくとも6か月以上続きます。患児はよくかんしゃくを起こし、腹を立てていらだちやすく、親しい大人や仲間の前で要求や規則に従うことに対して積極的に反抗します。

【疫学】

  1. 小児の2~16%にみられます。
  2. 3歳ですでに発症することがあり、典型的には8歳までに明らかになります。ふつう青年期が終われば発症しません。
  3. 思春期(第二次性徴)の前では男性に多いです。思春期以後では男女比は1:1です。

【原因】

  1. 未解決の葛藤の結果でありえます。
  2. 強化され、学習された行動でありえます。

【鑑別診断】

  1. 発達段階にみられる反抗的行動 より短期間であり、頻度も少なく程度も弱い。
  2. 適応障害 反抗挑戦性行動がストレスに対する反応として一過性にあらわれる。
  3. 素行障害 他者の基本的な権利を侵害する。

【経過と予後】

患児の症状重症度と、権威に対してより適応的な反応を発達させる能力とによって決まります。症状の縦断的安定性はさまざまです。症状が持続すると、素行障害や物質使用障害といった付加的な障害をもつ危険性が高まります。予後は家庭内での機能水準と精神症状が併存してくるかどうかに左右されます。

【治療】

  1. 精神療法
    親が子に対応する技能を直接訓練することと、家族間相互作用の注意深い評価との両方を使って、家族介入を行うことが治療の中心です。行動療法は、適切な行動を選択的に強化・奨励し、望ましくない行動を無視する、または強化しないようにすることに焦点を当てます。個人精神療法では適応的反応に焦点を当てます。
  2. 薬物療法
    併存する障害(不安、抑うつ)を薬物で治療します。

 

特定不能の破壊的行動障害
(Disruptive Behavior Disorder Not Otherwise Specified)

日常行為の障害、または反抗的で挑戦的な行動の障害で、素行障害と反抗挑戦性障害の診断基準は満たさないが、明らかな機能障害があるものをいいます。

 

診断基準

DSM-W-TR ICD-10
  1. 他者の基本的人権または年齢相応の主要な社会的規範または規則を侵害することが反復し持続する行動様式で、以下の基準の3つ(またはそれ以上)が過去12か月の間に存在し、基準の少なくとも1つは過去6か月の間に存在したことによって明らかとなる。

〈人や動物に対する攻撃性〉

  1. しばしば他人をいじめ、脅迫し、威嚇する。
  2. しばしば取っ組み合いの喧嘩を始める。
  3. 他人に重大な身体的危害を与えるような武器を使用したことがある(例:バット、煉瓦、割れた瓶、ナイフ、銃)。
  4. 人に対して残酷な身体的暴力を加えたことがある。
  5. 動物に対して残酷な身体的暴力を加えたことがある。
  6. 被害者の面前での盗みをしたことがある(例:人に襲いかかる強盗、ひったくり、強奪、武器を使っての強盗)。
  7. 性行為を強いたことがある。 〈所有物の破壊〉
  8. 重大な損害を与えるために故意に放火したことがある。
  9. 故意に他人の所有物を破壊したことがある(放火以外で)。 〈嘘をつくことや窃盗〉
  10. 他人の住居、建造物、または車に侵入したことがある。
  11. 物や好意を得たり、または義務を逃れるためしばしば嘘をつく(すなわち、他人を”だます”)。
  12. 被害者の面前ではなく、多少価値のある物品を盗んだことがある(例:万引き、ただし破壊や侵入のないもの;偽造)。 〈重大な規則違反〉
  13. 親の禁止にもかかわらず、しばしば夜遅く外出する行為が13歳以前から始まる。
  14. 親または親代わりの人の家に住み、一晩中、家を空けたことが少なくとも2回あった(または、長期にわたって家に帰らないことが1回)。
  15. しばしば学校を怠ける行為が13歳以前から始まる。
  1. この行動の障害が臨床的に著しい社会的、学業的、または職業的機能の障害を引き起こしている。
  2. その者が18歳以上の場合、反社会性パーソナリティ障害の基準を満たさない。

 

◆発症年齢による病型でコード番号を
つけよ

312.81 素行障害、小児期発症型:10歳になるまでに素行障害に特徴的な基準の少なくとも1つが発症。 312.82 素行障害、青年期発症型:10歳になるまでに素行障害に特徴的な基準はまったく認められない。 312.89 素行障害、発症年齢特定不能:発症年齢が不明である。

◆重症度を特定せよ

軽症

診断を下すのに必要な項目数以上の行為の問題はほとんどなく、および行為の問題が他人に比較的軽微な害しか与えていない(例:嘘をつく、無断欠席、許しを得ずに夜も外出する)。

中等症

行為の問題の数および他者への影響が”軽症”と”重症”の中間である(例:被害者に面と向かうことなく盗みを行う、破壊行為)。

重度

診断を下すのに必要な項目数以上に多数の行為の問題があるか、または行為の問題が他者に対して相当な危害を与えている(例:性行為の強制、身体的残酷さ、凶器の使用、被害者の面前での盗み、破壊と侵入)。

コード番号F91
素行障害 Conduct disorders

素行障害は反復し持続する反社会的、攻撃的あるいは反抗的な行動パターンを特徴とする。そのような行動は、最も極端なときには、年齢相応に社会から期待されるものを大きく逸脱していなければならない。それゆえ通常の子どもっぽいいたずらや青年期の反抗に比べてより重篤である。単発の反社会的あるいは犯罪的行為は、それ自体では、持続的な行動パターンを意味するこの診断の根拠とはならない。

素行障害の特徴は、他の精神科的病態の症状でもありうるので、その場合には基礎にある診断をコードすべきである。

行為障害は症例によっては、非社会性パーソナリティ障害へと発展することがある(F60.2)。素行障害はしばしば、不満足な家族関係や学校での失敗を含む、不利な心理的社会的環境と関連しており、ふつう男児に多く認められる。情緒障害との区別は十分妥当性がある。多動とは明瞭に分離されず、しばしば重なり合う。

[診断ガイドライン]

素行障害の存在についての判断は、小児の発達レベルを考慮に入れなければならない。たとえば、かんしゃくは3歳児の発達段階では正常範囲であり、単にそれがあるだけでは診断の根拠とならない。同様に、(暴力犯罪のような)他人の市民権の侵害は、ほとんどの7歳児の能力の範囲内にはないので、そのためこの年齢層にとっての必要な診断基準とはならない。

診断の基礎となる行動の例は、次のようなものである。過度のけんかやいじめ、動物や他人への残虐素行、所有物へのひどい破壊行為、放火、盗み、繰り返しうそをつくこと、学校のずる休みと家出、たび重なるひどいかんしゃく、反抗的で挑発的な行動、持続的で激しい反抗、これらのうちどれでも、その程度が重篤であれば、診断に十分であるが、単発の反社会的行為はその限りでない。

除外基準には、統合失調症、躁病、広汎性発達障害、多動性障害、うつ病などの、まれではあるが重篤な病態を基礎とするものが含まれる。  上記の行動が6か月あるいはそれ以上持続しなければ、この診断をくだすことは勧められない。

【鑑別診断】

素行障害は他の状態と重なり合う。小児の情緒障害(F93.-)との共存は、素行および情緒の混合性障害(F92.-)と診断すべきである。もし多動性障害(F90.-)の基準も満たすならば、代わりにその診断をくだすべきである。しかしながら、軽度で、より状況特異的なレベルの多動や不注意は素行障害の子どもでは、低い自己評価や軽い情緒の乱れと同様に、ふつうである。いずれもこの診断を除外しない。

〈除〉情緒障害を伴った素行障害(F92.-)もしくは多動性障害(F90.-) 気分(感情)障害(F30-F39)

広汎性発達障害(F84.-)

統合失調症(F20.-)

反抗挑戦性障害
Oppositional Defiant Disorde
コード番号313.81
コード番号F91.0
家庭限局性素行障害
Conduct disorder confined to the family context
  1. 少なくとも6か月持続する拒絶的、反抗的、挑戦的な行動様式で、以下のうち4つ(またはそれ以上)が存在する。
  1. しばしばかんしゃくを起こす。
  2. しばしば大人と口論をする。
  3. しばしば大人の要求、または規則に従うことに積極的に反抗または拒否する。
  4. しばしば故意に他人をいらだたせる。
  5. しばしば自分の失敗、不作法を他人のせいにする。
  6. しばしば神経過敏または他人によって容易にいらだつ。
  7. しばしば怒り、腹を立てる。
  8. しばしば意地悪で執念深い。

注:その問題行動が、その対象年齢および発達水準の人に普通認められるよりも頻繁に起こる場合にのみ、基準が満たされたとみなすこと。

  1. その行動上の障害は、社会的、学業的、または職業的機能に臨床的に著しい障害を引き起こしている。
  2. その行動上の障害は、精神病性障害または気分障害の経過中にのみ起こるものではない。
  3. 素行障害の基準を満たさず、またその者が18歳以上の場合、反社会性パーソナリティ障害の基準は満たさない。

このカテゴリーは(単に反抗的、挑戦的、破壊的行動だけではなく)異常行動のすべて、あるいはほとんどすべてが自宅および/または家族の中核的成員や直接の同居者との相互関係に限られている、反社会的あるいは攻撃行動を含む素行障害から成っている。この障害はF91のすべての基準を満たす必要がある。両親と子どもの関係が極度に障害されていても、それだけでは診断にとって十分ではない。家庭での盗み、これはしばしば1人か2人の決まった個人の金銭や所有物を狙って盗むことに集中する。さらに故意の破壊的行動、しばしば特定の家族成員に向けられ、たとえばおもちゃや装飾品を壊す、衣類を引き裂く、家具を傷つける、賞品としてもらったものを壊すなどの行動を伴うことがある。

(他人ではなく)家族の構成員に限られた暴力や、自分の家に限定した故意の放火もこの診断の根拠となる。

[診断ガイドライン]

この診断には、明らかな素行障害が家庭環境の外ではみられないこと、および家族外での社会的関係が正常範囲であることが必要である。  このような家族特異的な素行障害が生じるほとんどの場合、家族の中核的メンバーの1人あるいは2人と子どもとの関係の何らかの顕著な障害という背景が存在する。たとえば、新たに迎えた継父母との葛藤から障害が起こることがある。このカテゴリーの疾病分類的な妥当性には不確実さが残るが、これらのきわめて状況特異的な行動障害は、広汎にわたる素行障害に一般にみられる不良な予後は示さない。

特定不能の破壊的行動障害
Disruptive Behavior Disorder Not Otherwise Specified
コード番号 312.9
コード番号F91.1
個人行動型[非社会型]素行障害
Unsocialized conduct disorder

このカテゴリーは、素行障害または反抗挑戦性障害の基準を満たさないような素行または反抗的、挑戦的行動によって特徴づけられる障害のためのものである。

例えば、反抗挑戦性障害と素行障害のどちらの基準も完全に満たさないような臨床像であるが、臨床的には著しい障害が認められる場合を入れること。

この型の素行障害の特徴は、持続的な反社会的あるいは攻撃的行動(F91のすべての診断基準を満たし、単に反抗的、挑戦的、破壊的行動を含むだけではないことと、他の子どもとの関係で広範囲に著名な異常がともに存在することである。

[診断ガイドライン]

同年齢の仲間にうまくとけ込めないことが、「集団行動型」素行障害と区別する際最も重要なことであり、他のすべての鑑別に優先する。友だちとの関係の障害は主に、他の子どもからの孤立および/または拒絶か不人気、また親友がいないことや、同じ年齢のグループの子どもたちとの持続的共感的、相互的な関係の欠如によって明らかになる。大人との関係には不調和、敵意、怨恨が注目されがちである。大人と良好な関係も起こりうる(しかしながら通常、親密な信頼関係という性質のものではない)が、良好な関係があってもそれは診断を除外するものではない。常にではないがしばしば何がしかの情緒障害を伴っている(しかし、もしそれが混合性障害の基準を満たすに十分な程度であれば、そのコードF92.-を用いなければならない)。

違反行為は1人で行われること(しかし必ずというわけではない)が特徴である。典型的な行動は、弱い者いじめ、ひどいけんか、(年齢の高い小児では)ゆすりあるいは暴行、極端な不従順、不作法、非協力、権威への抵抗、ひどいかんしゃくと抑制不可能な激怒、所有財産の破壊、放火、動物や他の子どもに対する残酷さである。孤立した小児のある者は、しかしながら、集団的違反行為に巻き込まれてしまうことがある。そのため診断をするにあたって、対人関係の質に比べ違反の性質の重要性は小さい。

この障害は通常、状況にかかわらず普遍的にみられるが、学校で最も目立つものである。家族以外の状況という状況特異性があってもこの診断は成立する。

〈含〉孤立攻撃型素行障害

   個人行動型攻撃性障害

コード番号F91.2
集団行動型[社会化型]素行障害
Socialized conduct disorder

このカテゴリーは、持続性の反社会行動あるいは攻撃行動を含む素行障害(F91 すべての診断基準を満たし、単に反抗的、挑戦的、破壊的素行を含むだけでないもの)が、友だちグループの中にだいたいはよくとけ込んでいる者に生じた場合に適用される。

[診断ガイドライン]

鑑別の鍵となる特徴は、ほぼ同年齢の子どもとはよい持続的な友情関係が存在することである。常にではないがしばしば、仲間のグループは非行や反社会的行動をもった他の少年たちから構成されるようになる(そのような場合にはあ、社会的に是認されない行為も仲間のグループからは是認され、彼らの世界なりに統制されていることがある)。しかしながら、このことは診断の必要条件ではない。独自の反社会的行動を起こし、これとは別個に非行的ではない仲間とグループを形成することがある。とくに反社会的行動が弱い者いじめの場合は、被害者や他の子どもたちとの対人関係が障害されるであろう。またこの場合、忠実で友情関係が続く仲間とグループをもっていても、診断の妥当性を損なうものではない。

権威をもった大人との関係は乏しい傾向にあるが、時に良好な関係にあることもある。情緒障害は通常少ない。素行障害は家庭を含む場合と含まない場合があるが、家庭内に限局する場合にはこの診断は適用されない。この障害はしばしば家族以外で最も明白であり、学校(あるいは他の家庭以外の環境)に特異的であっても診断は成立する。

〈含〉素行障害、集団型

   集団非行

   暴力団構成員としての違反

   集団窃盗

   怠学

〈除〉精神障害を示さない暴力団活動(Z03.2)

コード番号F91.3
反抗挑戦性障害
Oppositional defiant disorder

この型の素行障害の類型は、およそ9,10歳未満の小児に特徴的にみられるものである。この障害は、きわめて挑戦的で不従順で挑発的な行動が存在することと、法や他人の権利を侵害する、より重大な反社会的あるいは攻撃的な行動が存在しないことによって定義される。F91の基準のすべてを満たすことが診断に必要である。度のすぎたいたずらやふざけた行為があっても、それ自体では診断に十分でない。行動の反抗挑戦的パターンは素行障害と質的に異なる型というよりは、素行障害のより軽度な型であると考える専門家が多い。この差が質的なものか量的なものかについては、研究データが不足している。しかしながら、これまでの知見は、この型の特徴的な症例に限れば、まちがいなくほとんど、あるいは必ず小さな子どもに限られることを示唆している。このカテゴリーを使う際とくに年長児の場合注意すべきことは、臨床的に重大な年長児の素行障害は通常、挑戦、不服従や破壊的という程度を超えた、反社会的あるいは攻撃的な行動を伴っていることである。そしてその場合は、年少の頃には反抗挑戦性障害が先行していることがしばしばみられる。このカテゴリーは、日常的診断を尊重し、年少児の障害の分類を容易にするために加えられている。

[診断ガイドライン]

この障害の基本的な特徴は、同年齢で同じ社会文化的背景をもっている子どもの行動の正常範囲を明らかに超えているが、F91.0からF91.2のカテゴリーに分類される、攻撃的で反社会的な行動にみられるような他人の権利に対するより重大な侵害は含まない、持続する拒否的、敵対的、反抗的、挑発的、破壊的な行動パターンである。この障害をもつ子どもはしばしば積極的に大人の要求やルールに背き、平然と他人をいらだたせる傾向を示す。通常彼らは怒りっぽく、恨みっぽく、自分の失敗や支障のせいにする他人にすぐにいらだちやすい。一般に彼らは欲求不満への耐性が低く、容易にかんしゃくを起こす。典型的には、彼らの反抗は挑発的な性質であり、そのため彼らは対立し、そしてだいたいは権威に対する過度の乱暴、非協力、抵抗を示すようになる。

この行動をよく知っている大人や仲間たちとの関わりにおいて最も顕著となることが多く、臨床的な面接場面では明らかにならないことがある。

法や他人の基本的権利を侵害する素行が存在しないこと、つまり窃盗、残虐素行、いじめ、暴行、破壊などのような行為のないことが、素行障害の他の類型から区別する鍵である。これらの行動のどれかが存在することが明らかならば、この診断は除外される。しかしながら、反抗挑戦性障害はすでに述べたようにしばしば素行障害の他の類型にみられるものである。もし他の類型(F91.0-F91.2)が存在するなら、反抗挑戦性障害よりもそちらを優先してコードすべきである。  〈除〉明らかな反社会的あるいは攻撃的行動を含む素行障害(F91.0-F91.2)

コード番号F91.8
他の素行障害
Other conduct disorders
コード番号F91.9
素行障害、特定不能のもの
Conduct disorder, unspecified

これは推奨できない残遺カテゴリーで、F91の一般的な診断基準は満たすが、下位分類を特定できない、あるいはそのいずれかの診断基準も満たさないときにのみ用いられる。

〈含〉特定不能の小児期の行動障害

   特定不能の小児期の素行障害

【参考・引用文献】

・DSM-W-TR精神疾患の分類と診断の手引 新訂版 高橋三郎他訳 2010 医学書院

・カプラン精神医学ハンドブック 融道男他訳 2010 メディカルサイエンスインターナショナル

・ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン 融道男他監訳 2009 医学書院

・知っておきたい精神医学の基礎知識 サイコロジストとコ・メディカルのために
上島国敏・上別府圭子・平島奈津子編 2010 誠信書房

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