家族教室
2006年度第2回 家族会報/家族教室開催報告
2006年3月5日(日)16:00~17:00 ハートクリニックデイケアセンター
講 師:長坂 良(ハートクリニック医師)
テーマ:「うつ病について」
まだまだ、少し肌寒い天気ではありましたが、今回の家族教室は36名と、非常に多くのご家族の方々にご参加いただきました。それだけ、ご家族の関心の高さがうかがえました。
長坂先生の講演では、うつ病についてお話しいただきました。 今回は紙面の都合上、講演の内容を簡単にまとめたいと思います(詳しい内容については、家族教室の講演内容をDVDに収録し、販売していますので、そちらをご覧下さい)。
うつ病とは? ~うつ状態との違い・どんな症状か~
日常生活でも気分が落ち込むことはよくあることです。例えば、失恋をしたり、仕事で大きな失敗をしたりすると、気分は落ち込みます。しかし、多くの場合、数日~1週間程度で回復し、またもとのように「頑張るか!」という気持ちを持てるようになります。
ところが、いつまでたっても気持ちが沈んだまま、回復せずに、2週間以上もこのような状態が続く場合には、うつ病の可能性が疑われます。また、落ち込みの程度はいつも同じではなく、多くの場合、朝に重く、夕方になると軽くなる傾向があるようです。このように、1日の中で気分の落ち込みに変化があることも、うつ病の特徴の1つに挙げられます。
この他、悩みごとや心配ごとがあって眠れなかった経験のある方も多いと思います。不眠はうつ病の代表的な症状の1つですが、うつ病の場合は、早朝から目覚めてしまう、といったことも多いようです。 このように、単なる気分の落ち込みとうつ病は、いつくかの点で異なります。
~どんな症状か?~
うつ病の症状は基本的に(1)うつ気分(はっきりとした原因がない病的なうつ状態・憂うつ感や抑うつ気分など)、(2)生命活力の減退による意欲・行動の障害(億劫感など)、(3)悲観的な思考障害(考えがまとまらない・将来に対しての悲観的な考え)、(4)種々の身体症状(全身倦怠感・食欲不振・不眠・頭痛・めまい感・聴覚過敏・胸部圧迫感・手足のしびれなど)の4つの症候群に分けることが出来ます。また、朝方調子が悪く、夕方になると元気が出てくる日内変動などがあります。
うつ病と診断された人の中で、精神症状として多いのは、「抑うつ気分」「興味の喪失」「意欲の低下」の3つで、身体症状として多いのは、「睡眠障害」「疲れやすさ」「食欲不振」の3つが挙げられます。
~治療法は?~
家族の対応としては、先ほども書いたように心身共に疲労状態で、「頑張りたくても頑張れない状態」と言うことを良く理解することが大切だと思います。具体的には必要以上に「励まさない」「焦らせない」と言うことが大切です。
しかし、そうは言っても一緒に生活しているご家族としては、ついつい患者様に対して「叱咤激励」などしてしまうこともあるかと思います。そのようなことを極力防ぐためにも、診察に付き添い、主治医に治療について話を聞いたり、心配事や困っていることを相談をしたりと言うことが必要かと思います。また、家族教室などに参加して、他のご家族は「どの様にしているのか」と言う話を聞いたり、悩みや困っていることを話してみるということも良いのではと思います。ご家族の対応や心構えのヒントがたくさんあると思います。