こころのはなし

こころの病気に関わるいろいろなお話を紹介します。
「こころの病」についての知識をはじめ、
バラエティに富んだ情報を提供するなど、
患者様はもちろんご家族など皆様との交流を目指すコーナーです。

   
福祉用語の基礎知識 治療/訓練/プログラム

No.30 復職支援プログラム

1990年代以降、気分障害(うつ状態、うつ病、双極性障害など)を要因として仕事を休まなければいけない方が増加傾向にあります。また、療養をしている間は症状が改善しても、職場に戻った後のストレスにうまく対応できず、再度仕事を休まなければならない方もしばしばみられます。
このような事態を回避するために、リハビリテーションとして復職支援プログラムは位置づけられています。
プログラム内容は様々ですが、(1) 生活リズムの確立や作業能力の改善 (2) 時間や場所に拘束されることや他人と過ごすことのストレスに慣れること (3) 再発予防として正しい知識を身につけることに加え、自分自身の考え方、捉え方の幅を広げる (4) 同様の経験をした方との交流の4点を軸に復職を目指すことができる仕組みになっています。

No.29 行動療法

行動主義の立場にのっとった治療の一群をいいます。
人間の不適応行動を学習理論に基づいて、変化・除去する、あるいは適応的な行動を増していくことによって不適応状態を改善しようする療法であります。つまり、人間の心の中の変容を求めるのではなく、客観的にとらえうる行動の変容を目指して行われる療法であります。不適応状態が除去されることで結果としてその人の心の変化や人間的な変化も起こり得ます。
行動療法の基礎となるのが、古典的学習理論、オペラント学習理論といった学習理論であります。行動療法にはこれら学習理論の諸原理に基づいて様々な技法が存在します。古典的条件づけに基づくものとして代表的な技法は系統的脱感作法であります。これは不安や恐怖を引き起こす場面で一番弱い刺激を不安や恐怖を感じることがなくなるまで繰り返し呈示し、その刺刺激を次第に増強し、最終的に不安や恐怖の除去を行うという行動療法の技法であり、高所恐怖症や学校恐怖症など、恐怖症の治療に用いられています。

No.28 精神科デイケア

精神科デイケアは、精神障害をお持ちの患者さんに対し提供される治療の1つで、1人1日6時間を標準として、さまざまな“プログラム”(主にグループ活動)を通し、その生活能力の回復や向上を目指すものです。
そして、最終的には、デイケアを中継点として、(広い意味での)自立的な生活と社会参加へとつなげていくことを目的とします。
ともすると孤立しがちな患者さんに、人と触れ合う場を提供し、他者と一緒に活動する中で、生活技能や体力、人と一緒にやっていく力、自信、などを回復してゆく場、自分なりの生活を築いてゆく場、と言い換えても良いかも知れません。

No.27 クライエント中心療法

精神療法には、様々な立場とそれを基礎にした方法とがあります。
説得や暗示を与える方法を避けて、患者様自身の選択を尊重して治療しようとするのが、アメリカの心理学者ロジャーズの提唱によってなされたカウンセリングあるいは治療法であります。初期の1940年に非指示的な治療と呼ばれたのは、積極的に指示を与えない方法であるためであります。この背景には、来談者のなかに潜む成長力、回復力を温かく見守ろうとする理念があります。しかし、この概念はあたかもこの治療法を消極的・受け身的であると印象を与えるところから、来談者中心カウンセリングという呼び名に変えられました。 1950年代の後半頃までに、技法よりカウンセラーの人間的な態度を重視するようになりました。また、独自のパーソナリティ理論も確立し、実証的な数々の研究が報告されてきました。
1960年代の後半までにかけては、ウィスコンシン・プロジェクトにおいて統合失調症患者への適応が試みられ、カウンセラーの純粋性などが問題とされました。さらに、この頃にロジャーズの共同研究者であるジェンドリンによって、体験過程の概念が提唱され、実存的な立場に接近していきました。

No.26 カタルシス

抑圧された外傷体験、欲求、感情などをなんらかの方法で発散することにより、精神的健康を得る方法であります。あるいは、そのような方法による効果を指してカタルシス効果ということもあります。
かつて、ブロイアーがヒステリー治療に用いた催眠浄化法は、彼と共同研究を行ったフロイトがすべての神経症の原因として感情の抑圧を考えるにいたり、浄化法として精神分析に位置付けました。しかし今日では、様々な精神分析の技法だけでなく、自立訓練法や一般の面接でもその効果が認められることがあると考えられており、特に芸術療法、集団精神療法などのグループ体験、心理劇、さらには映画鑑賞や観劇、スポーツ体験などの効果の一つとして報告されることが多くあります。

No.25 カウンセリング

臨床の場では、受理面接・予診・診察・カウンセリングなど、さまざまな名称で呼ばれる面接場面が患者に対して頻度高く適用されています。特に精神科の領域において面接は最も基本的な方法であり、それらは、それぞれに目的や方法の異なるものを含んでいます。一般的に面接の目的は患者様を理解し、あるいは患者様への治療的な働きかけのための、あらゆる手がかりや機会を得るために行われます。このうちカウンセリングは、広く個人の適応上の問題を解決するための指導・助言を行うことを目的にとしています。
さらに限定すれば、適応上の問題解決のために訓練を受けた専門家(カウンセラー)と患者様とが相互に心理的影響を与えていく過程ということもできます。
ロジャーズによるいわゆるクライエント中心療法は、その代表的なものの一つであります。それまで、伝統的な指示的療法や解釈的な精神分析に対して、非指示的方法に特徴があります。その基盤には、患者様をはじめ来談者とカウンセラーから来談者への忠告や助言や指示といったものが与えられた後で来談者に生ずるのではなく、主要な変化は、来談者とカウンセラーとの間の心理的な接触そのもののうちに生起するものであると考えます。

No.24 エコマップ

1975年にハルトマンによって考案され、エコロジカル・ソーシャルワークに基づいているもので生態学視点を取り入れた生態地図や社会地図と言われます。
クライエントとその家族との関係や地域生活支援の援助関係や社会資源などについての関わりや状況を円や線で空間的に図式化して表わすものです。人と環境との交互作用を援助の焦点にして、クライエントを家族集団・地域集団の一員ととらえる志向性があります。援助者は、クライエントと周囲との関係を一目で把握することができ、援助の方法の検討や社会資源の活用などについて全体的な方向が具体化しやすくなります。アセスメントと終結の段階のエコマップを比較すると支援関係の時間的変化がわかります。
エコマップは、援助の記録、事例兼研究などに利用するだけでなく、面接の場面でクライエント自身が援助者と共に作成することにより、自らの問題や自分を取り巻く関係を客観的に把握することにも利用できます。

No.23 長谷川式簡易知能評価スケール

わが国の代表的な質問式の認知症スクーリング法の一つです。 1991年に改訂され、長谷川式簡易知能評価スケール改訂版(HDS-R)の質問は、(1)年齢、(2)検査施行日の日付と曜日、(3)現在いる場所、(4)単語の復唱と記銘、(5)計算(100から7を順に引く)、(6)3桁と4桁の数字の逆算、(7)(4)で行った単語の起想、(8)相互に無関係な品物の認知と想起、(9)記憶している野菜(または動物)の名前の羅列の9項目からなる。
最高得点30点で20点以下が痴呆を疑う目安となります。HDS-Rの利点は、被害者が協力的ならば検査前に本人の生年月日のみ判明していれば、ほかの情報が少なく家族などが不在でも場所は問わず通常は5分程度で施行可能なことであります。
一方、被検者が非協力的だったり、うつ病における仮性痴呆などの状態を呈しているときには有効性が低いです。いずれにせよ認知症と判断するにはHDS-Rのほかに問診や観察式検査、画像による検査などの併用が必須であります。

No.22 ストレスマネジメント

主に心理社会的ストレスに対する対処法を意味して使われています。ストレス関連疾病の治療や予防だけでなく健康増進や労働意欲の向上などの目的でも利用されていますが、よく利用されている技法としては自律訓練法、認知行動療法、ヨガ、気功、太極拳、芸術療法などがあります。また、ストレスへの気づきやそのコントロール手法を教える教育講座なども活用されています。 欧米ではストレスマネジメントに関する経済効果も指摘されています。労働形態が肉体労働から知的労働へと質的転換を果たした日本を含む欧米の先進諸国では、心理社会的ストレスに対するマネジメントの重要性が指摘されています。

No.21 電気けいれん療法

身体療法の一つで頭部に電極を置いて通電し全身の「けいれん」を起こされることで精神症状の改善を図る治療法です。 向精神薬が発見されるまでは精神科治療の主流でした。薬物療法が盛んになり、一時廃れましたが、麻酔薬や筋弛緩薬剤を併用して恐怖感の軽減、骨折の防止が図られ、安全性も高まり、薬物療法の限界もあり、その有効性が認められ、治療法として見直されてきています。
薬物療法が不十分の場合電気けいれん療法が行われることが多いです。うつ病や躁うつ病、緊張型統合失調症が適応ですが、その作用機序は不明です。
副作用として、短時間で消えるものや麻酔から覚醒した後に数時間続くもの、数日続くものがありますが、ほとんどが自然に消え後遺症は残りません。心臓に疾患のある方は、疾患を悪化させる可能性があります。 頭痛やめまい、筋肉痛、吐き気などがETCを行った直後におこることが多いとされていますが、数時間以内に症状はおさまります。 もっとも多い副作用として記憶喪失があります。およそ数週間ほどで記憶が戻ってくることが多いです。

No.20 精神科作業療法

無為好褥の状態にある精神障害者に作業をしてもらうことによって残されている健康な精神活動を賦活し、病的思考から立ち直りを図ろうとする試みは古くから行われて来ました。 作業種目としては農耕、伐採、園芸などの他、木工、手芸あるいは工賃を得られる手内職などが代表的であります。これらの多くは病院内作業と病院外作業とに分けられてきました。 精神科作業療法の目的は、1日のリズムの獲得や週や月の生活リズムを獲得する他、わずかながらも工賃を得る等として勤労意欲を開発すること等がおかれました。その他、作業を通じて共同意識を醸成することや複雑な人間関係を再体験するなど社会へ戻るための訓練的な意味ももっています。なかでも病院外作業では、入院中でありながら朝になると病院外の事業所に通いそこで与えられた仕事をこなして夕方には病院に戻るというような生活をすることによって社会復帰の訓練をしてきたものであります。
病院内作業であれ病院外作業であれ、工賃や賃金が極めて低く設定されていることなどからこうした作業に精神障害者が従事することは搾取を助長することにあたるという考えから、これらは作業療法とはいえないという考えが強くあります。このため一時期は、作業療法は廃れたかにみえたが、精神活動を賦活するという意味や対人関係を改善するという意味から改めて作業療法を考えるようになり、絵画や彫刻あるいは陶芸や染色などの創作活動を作業療法と位置づけるなどして新たな展開を示しています。
作業療法は1974年から診療報酬制度の対象となったため医師の指示の下に作業療法士が行うものについては医療費が算定できるようになっています。

No.19 アルコール依存等への予防

一次予防
学校・地域・企業などでの健康教育等により、適正飲酒(飲酒する場合は、「有害な飲み方を避けること」)や「未成年者や疾病を有する者等はアルコール飲料を飲んではならない」という正しい知識の啓発・普及を行います。 マスメディアを通じる過剰な広告宣伝やアルコール飲料自動販売機の撤廃などにより、社会環境の整備が含まれます。

二次予防(早期発見・早期治療)
医療機関と学校・地域・企業などとの有機的な協力により、アルコール関連問題の早期発見を進めます。 精神保健福祉センター、保健所等における相談指導や診断の体制の整備を進めます。医療は、広義の精神療法を中心とした外来治療が原則であります。入院療法では、「解毒」の後、集団療法や作業療法等の「リハビリテーション」により三次予防につなげます。

三次予防(再発予防)
外来治療(嫌酒薬の服薬など)を継続しながら、デイケア等の社会復帰プログラムや断酒会等の自助グループ活動の参加に繋げていきます。

No.18 心理教育

慢性疾患や精神障害を抱えた方やその家族に対して、病気の経過や病気の予後の改善を目的に行われる情報提供と心理サポートを組み合わせた一つの支援方法のことです。
疾病教育や療養指導との違いは、患者や家族が「何を、どう体験しているのか」という心理面に、配慮しつつ、医療のことや社会資源などに関する知識や情報の伝達と同時に、対人関係や問題解決などに関する対処方法の体験学習を通して、行動の改善も目指す点であります。
精神科病院やクリニック、保健所または精神保健福祉センターでは、統合失調症などを抱えた家族の支援にグループワークの技法を用いた「精神保健家族教室」又は、「家族教室」等の名称の心理教育が行われています。

No.17 ピアカウンセリング

まず、「ピア」とは、同じ立場の仲間、同じ背景を持つ仲間という意味があり、相談者と同じ経験を持つ仲間が、情報提供を行ったり、相談を受けたりすることを言います。
「ピアカウンセリング」では、当事者のことを最もよく理解しているのは、その人自身であるという考えのもと、人間信頼、自己信頼にのっとった立場に立ち、その上で平等に、対等に力と時間を使っていきます、つまりピアカウンセラーもカウンセラー役だけでなく、他のピアカウンセラーに自分の気持ちや話を聞いてもらえる時間なのです。
障害について誰より知っているのは、障害を持ったその人自身であり、「障害については障害者こそが専門家である」という考えのもと同じ仲間同士、対等な立場で行われるカウンセリングを言います。 。

No.16 コンサルテーション

コンサルテーションの技法は、キャプランによって確立されたと言われています。コンサルテーションとは、「機関・組織ないし個人が他機関、他部門の専門家との相談・協議、あるいは指導を受けること、また逆に専門家がそれらを行うことをいう。ソーシャルワークにおけるコンサルテーションとは、個人やグループ、組織、コミュニティがコンサルタントを依頼して、特殊な問題や実践活動についての助言、あるいは専門的な技術に関する指導、専門的知識に基づく援助を受ける一連の問題解決過程」であります。 さらに、福山和女は、コンサルテーションを「対人援助の専門家が、組織体制や運営、職務や援助業務、援助計画に関する課題や問題などに取り組むために、特定の領域の専門家から新しい情報・知識・技術を習得する過程」としています。
つまり、コンサルテーションは特定の能力を持った専門家からスーパービジョン的な助言を受けることであります。
スーパービジョンと異なる点は、コンサルタントに相談内容の解決責任がないという点です。また、スーパービジョンはスーパーバイジーの問題に関わり助言指導することがあるが、コンサルテーションは、相談内容にのみ焦点を当てて助言をします。あくまでも対等な関係として特定の専門分野の見地から助言をするのです。 コンサルテーションの目的には、援助者の問題解決と援助者が将来出会う問題に予防的に対応できるようにすることであり、コンサルテーションと同様に、個人、グループ、仲間同士、組織単位等で行われます。
コンサルテーションは、医療の現場で他職種との連携やチームアプローチを通して、助言や指導を受けるということにより展開してきたことが多かったが、近年は、様々な他職種、専門職種間で、それぞれの持つ視点や知識、情報、専門技術などを他の職種や専門職、当事者、住民に対してもコンサルテーションが行われています。 ※ こちらにコンサルテーションについての別の解説が掲載されています。

No.15 日常生活動作(ADL)

日常生活動作とは、「ひとりと人間が独立して生活するために行う基本的な、しかも各人ともに共通に毎日繰り返される、一連の身体的動作群」と定義され、食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など生活を営む上で不可欠な基本的行動を指しADL(Activities of Daily Living)とも呼ばれます。それぞれについて自立・一部介助・全介助のいずれかであるか評価することで障害者や高齢者の生活自立度を表現できます。 日常生活動作(ADL)は、単に能力を回復するだけでなく、装具や施設を対応させることでも向上させることができます。

日常生活動作(ADL)には、3つの段階の(1)基本日常生活動作(BADL) (2)手段的日常生活動作(IADL) (3)拡大日常生活動作(AADL)があります。

  1. 基本日常生活動作(BADL)
    起居動作、移動動作、食事動作、排泄動作、整容、入浴動作、コミュニケーション等の基本動作
  2. 手段的日常生活動作(IADL)
    買い物、調理、洗濯、電話、薬の管理、財産管理、乗り物の乗り方等の日常生活上の複雑な動作
  3. 拡大日常生活動作(AADL)
    生活の充足度、満足度、時間の使い方や過ごし方、知人との交流、趣味

No.14 チームアプローチ

チームアプローチとは、多様な職種がチーム形成し目標に向かって連携し、協働する技術であり、現在では、医師や看護師、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の国家資格として位置づけらけるものばかりでなく、生活保護担当者のケースワーカー、民生委員、児童委員、ホームヘルパー、障害者職業カウンセラー等様々な分野にかかわる職種にも広がりを見せています。
チームアプローチは、多様化するニーズに対して、専門職だけでなく家族やボランティア、地域住民等支援者を含むネットワークが重要とされています。 利用者のメリットとしては、それぞれの職種の専門性や複眼的な視点で取り入れられ、包括的なサービスがいけられる点であります。また、関わる専門職としては、1人で支援する場合と異なり、様々な職種の視点からアドバイスを受ける事ができ、支援上の困難を共有し、受け止めてもらえるという利点があります。
チームアプローチを行う上で、基本的な視点として、利用者の主体的な参加であり、チームの成員相互のコミュニケーションを通して、信頼、協働できるパートナーシップを醸成させることであります。そうした、チームの力を活用し、情報へのアクセス方法や生活上のスキルの獲得が行われ、一人ひとりが安心して生活することができるです。

No.13 インフォームドコンセント

ンフォームドコンセントとは、医師が患者に対してこれから行う治療法や使用する薬等が患者自身に関わることを説明し、患者がその説明を理解し同意や選択をすることであります。 現在では、インフォームドコンセントは医療現場だけでなく、福祉サービス等の契約を行う際にもインフォームドコンセントが必要とされています。その説明の中で、治療等によって起こると予想される、患者にとってのメリット、デメリットを説明行われています。よって患者自身で、サービスの内容を理解し、選択し、安心してサービスを受けることができるようになります。

No.12 アドボカシー

自己の権利やニーズを自分自身で主張することが困難な方に代わって、アドボケイト(代弁者・権利擁護者)が擁護、代弁、弁護して行くことであり、擁護、代弁、弁護することでサービス利用等に繋ぐ作業をします。

アドボカシーの種類
セルフ・アドボカシー 親、援助者などの援助を受けながら自分自身で権利を主張したり、ニーズ実現のための自己決定等を行う。
ペイシェント・アドボカシー 病院から孤立したアドボケイドが患者のニーズを実現するために病院に対しての代弁をしたり患者自身が解決できるように援助すること。
ペアレント・アドボカシー 親が子供の権利獲得やニーズ実現のために援助すること。
シチズン・アドボカシー 同じ地域で暮らす市民がその人の権利獲得やニーズ実現のために援助すること。
リーガル・アドボカシー 法律を利用して権利獲得やニーズ実現を行うこと。

No.11 短期入所事業(ショートステイ)

短期入所は、精神障害者の介護者が、病気や冠婚葬祭、学校の行事等の理由(社会的理由)や、旅行等の理由(私的理由)で介護を行うことができない場合に、原則として7日間利用できる事業です。 1人暮らしなどが行き詰まり、入院の必要はないけれども気分転換等の本人自身の理由で利用できると良いのですが、現在のところ、まだ、本人の理由では利用することができません。短期入所は、援護寮と一緒に整備されている場合が多いので、援護寮がない地域では、身近に利用できる事業にはなっていないのが現状です。利用は、お住まいの市区町村の窓口で申請します。

No.10 ケアマネジメント

ケアマネジメントとは、アメリカなどで用いられているケースマネジメントや日本のケアコーディネーションと同じ意味で、障害のある人(利用者)の地域生活を支援する方法のひとつです。利用者の生活課題やニーズに対して、さまざまな種類の社会資源や支援を結びつけ、調整をはかります。これにより、利用者には総合的かつ継続的なサービスがひとそろいのパッケージとして提供され、重度の状態の人も、地域で生活を送ることが可能になります。
ケアマネジメントは、まず利用者に説明を行い、それを利用するか否かの意思確認をした上で開始されます。ケアマネジメントを担う専門職をケアマネージャーといいます。ケアマネージャーは、利用者とパートナーシップを築き、利用者が本来もっている力や長所に注目して、それらが発揮されるように援助していきます。

No.09 EAP (Employee Assistance Program)

Employee Assistance Program(従業員援助プログラム)の略。 アメリカで発祥した、企業のためのメンタルヘルスサービスで、契約企業の従業員や家族が利用できます。職場外での相談窓口の提供、こころの病気の予防や休職者への復帰支援を実施します。従業員にとってはたらきやすい環境を作ることで、生産性の向上を目指す支援活動です。

No.08 断酒会

酒害者とその家族のソーシャルクラブ的な自助組織のことです。主な活動は定期的に開かれる例会活動と、新入会者に対する酒害相談活動です。例会活動は専門の治療者がいない酒害者だけの等質集団であるため、本音で討論ができる、治療者への依存性が生じないなどの利点があります。AA(アルコホリクス・アノニマス)という会をモデルに発足しており、集会の形式はAAと似ています。 日本では、宗教を持ち込まないことが取り決められています。

No.07 療育(りょういく)

「治療教育」の略語。自閉症、自閉症スペクトラム障害を抱える子どもに対する、教育的なアプローチのことを指す。 自閉症の特徴として、脳の機能障害によって社会的な行動が 身に付きにくいため、生活に支障をきたしてしまうことが多 くみられます。現在の医療では、脳機能そのものを正常化さ せることはできません。そのため、社会的な行動を教え、 生活上の問題を減らす「治療教育」が中心になります。
治療というより、生活をするための手助けといったところで しょうか。何もかも家族が助けるのではなく、子どもが障害 を抱えながらも不便なく暮していけるよう、サポートします。

No.06 特別支援教育

2007年4月より、特殊教育を引きついで特別支援教育がはじまりました。 特別支援教育とは、障害のある幼児・児童・生徒が必要とする教育ニーズに応え、一人一人の能力や可能性を伸ばすために、さまざまな手だてを用いて適切な教育を行うことです。小・中学校を例に挙げると、教室での学習や集団活動の中で「困難さ」を感じる児童・生徒がいます。この「困難さ」に対して、どのような支援を行うことがよいのかを学校や保護者などみんなで考えて実行していく、それが特別支援教育です。 特殊教育は、障害の名前によって対象となるこどもを分けてサポートしていました。特別支援教育では、「こどもが何を必要としているか」によって支援を提供します。障害の種別や軽重などにかかわらず、多妻な支援が可能となりました。

No.05 IPS(Individual Placement and Support)

米国で1990年代前半に開発された就労支援モデル。IPSでは、就労は治療的効果があり、ノーマライゼーションをもたらすと考え、最終目標はリカバリーとしている。また、職業準備性ができている,できていないなどの判断をせず、彼らを信頼し、可能性を信じ、そして「障害を持っていても働くことができる。」という希望を伝えていくことが重要と位置付けている。

No.04 ACT(Assertive Community Treatment)

主に欧米で比較的重い精神障害を持つ人が、病院ではなく地域で暮らすためのサービスを提供しています。最大の特徴として重い精神障害を持つ人を対象に支援を行うため「365日24時間の対応」と「アウトリーチ(訪問援助)」が挙げられます。
具体的には症状や服薬の管理などの医療サービスをはじめ、金銭管理の支援や、買い物などの日常生活の支援、就労支援、当事者や家族に対する心理教育の実施などを行います。また、他科治療や各種社会資源の利用など他機関と連携して行います。
日本でも本格的に導入されはじめており、「平均在院日数の 減少」や「慢性入院病床の削減」など等の効果が期待されていますが、精神科病院に入院している方々の「地域で生活した い」というニーズを満たすことが出来ると考えられます。 一方で、隔離や入院治療が中心であった日本の精神科治療の歴 史を鑑みると、本当の意味でACTが浸透するまでには、時間 を要するかもしれません。

No.03 精神科訪問看護

「精神科訪問看護」は、精神科の病院、診療所、訪問看護ステーションから看護師、保健師などの職員が家庭を訪問して、健康管理、療養のアドバイスなどを行うものです。 具体的には、

  1. 病気の再発防止に関する援助:不安や苦痛を和らげる、健康管理、薬の飲み方などの療養生活上の援助
  2. 生活の支援:生活のなかでの健康管理上の援助
  3. 家族への支援:病気の理解、接し方などの支援

などです。 そして精神科訪問看護は、精神疾患の治療などを中心とした 医療的サービスであり、ホ-ムヘルプサービスとは性質が異 なります。利用の対象となる方は、精神科または心療内科に 通院中の方で、精神科訪問看護を希望し、主治医がその必要性を認めた場合です。利用料は医療費になりますので健康保険が 使え、自立支援医療費制度も利用できます。詳しくは主治医や 医療機関に相談してください。

No.02 ジョブコーチ

「ジョブコーチ」とは、「職場適応援助者」の別称で、障害者が 一般の職場で就労するにあたり、障害者・事業主及び当該障害者の家族に対して障害者の職場適応に向けた人的支援を提供する専門職のことを指します。
主な支援の内容としては、仕事がうまくできるように作業指導をしたり、職場でのコミュニケーションを円滑に行えるように支援したり、事業主に対しては障害について理解を深めるための支援や理解されやすい指導方法を伝えたりします。精神障害者だけが対象ではなく、身体障害者や知的障害者も対象となります。また、支援の内容や方法はそれぞれの対象者によって異なります。
ジョブコーチの利用についてですが、今は仕事をしていないけれども働く時にジョブコーチを利用したい場合は各都道府県の障害者職業センターに相談してみて下さい。また、ハローワークなどで仕事を探していて、ジョブコーチを利用して働きたいと思っている方はハローワークの障害者窓口(専門援助部門)に相談してみて下さい。また、すでに仕事をしていてジョブコーチを利用したいと考えている場合は、障害者職業センターやハローワークに相談してみてください。

No.01 SST(Social Skills Training)

主に精神障害者の円滑な社会復帰・社会参加を目指して、生活障害(能力障害)改善する治療プログラムの1つ。
受容的雰囲気をもつグループワークの中で、例えば「気の進まない勧誘を断る」といったような課題に、寸劇のようなもの(ロールプレイ)を実施し、実際の生活の場でも実行し、「より上手なやり方」を身につける。その積み重ねにより、色々な社会的行動(服薬管理、基本的会話、金銭管理、身だしなみ、食生活など)を学習、向上させる。