こころのはなし

こころの病気に関わるいろいろなお話を紹介します。
「こころの病」についての知識をはじめ、
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残遺性および遅発性精神病性障害

F1x.7 残遺性および遅発性精神病性障害 Residual and late-onset psychotic disorder

疾患の具体例

28歳男性、いわゆる脱法ドラッグの依存症になり、幻覚や幻聴、うつ症状、頭痛などに苦しんでいました。治療を受け、脱法ドラッグの使用をやめて半年がたち、症状はだいぶ軽くなりました。しかし、今でも自分を呼んでいる声や、誰かが悪口を言っている声が聞こえることがあります。以前ほどではないにしても気分は抑うつ的で、仕事にも行けない日があります。眠りが浅く、体が疲れている時は幻覚も見えます。医師に相談すると、脱法ドラッグのフラッシュバック症状で、「残遺性精神病性障害」にあたる診断されました。

症 状

「残遺性」とは、一見、おさまっていたように見える症状が、残っている状態のことです。もともとの依存症の中核症状として見られた精神病性障害が寛解したと言われたのに、一部の周辺症状が残っていることを言います。人によっては、中核症状が弱く残っている場合もあります。一方、似かよった概念の「遅発性」は、寛解したと思っていた精神病性障害の症状が、数日後あるいは数週間後に遅れて表れることを言います。アルコールあるいは精神作用物質の影響が、期間がたってもなお継続しているのです。どちらにしても、主な症状には、フラッシュバックやパーソナリティ障害、認知症、幻覚、幻聴、妄想などが挙げられます。

原 因

アルコールあるいは精神作用物質の使用と、直接関連しています。パーソナリティ障害や認知症などの症状もありますが、単独で発症してものとは区別して診断されます。

治 療

依存症の中核症状がおさまっていたとしても、通院や、精神科リハビリテーションなどによる継続した治療が必要です。

診断基準

この障害の発症は、アルコールあるいは精神作用物質の使用と直接関連していなければならない。初発が物質使用のエピソード(数回の場合もある)から時間的に遅れた場合、この状態を物質の残遺的効果に帰することができるような明白で強力な証拠がある時に限り、ここにコードすべきである。この障害は、以前の正常な機能状態から変化しているか。あるいはその機能状態が著しく病的に過剰となっていなければならない。
この障害は、薬物の直接的な効果で作用していると想定される期間を持続していなければならない(F1x.0:急性中毒を参照)。アルコールあるいは精神作用物質による認知症は必ずしも不可逆的ではない。アルコールあるいは精神作用物質を長期にわたって完全に絶ったあとで、知的機能と記憶が改善することがある。 この障害は離脱に関連した状態(Fx.3とF1x.4を参照)から注意深く鑑別されなければならない。ある種の状況では、あるいはある種の物質によっては、離脱状態の現象が、その物質の中断後、何日もあるいは何週間も存在しうることを忘れてはならない。
精神作用物質により惹起され、その使用終了後にも持続している状態で、精神病性障害の診断基準を満たす場合には、この診断をくだすべきではない(Fx.5「精神病性障害」を用いる)。コルサコフ症候群の慢性的末期状態を示す患者はF1x.5にコードされるべきである。