こころのはなし

こころの病気に関わるいろいろなお話を紹介します。
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専門編 パニック障害について

パニック障害の国際的診断基準とは

パニック障害(panic disorder)は臨床現場において、主に2つの国際的診断基準に基づいて診断されています。 一つ目は、米国精神医学会(American Psychiatric Asociation:略してAPA)により2000年に作成された、精神疾患の診断・統計マニュアル第4版・解説改訂版(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,Fourth Edition,Text Revision:略してDSM-Ⅳ-TR)です。二つ目は、世界保健機関(World Health Organization:略してWHO)により1992年に作成された、国際疾病分類第10版(International Classificition of Diseases, tenth edition:略してICD-10)です。 どちらかの国際的診断基準を使用するかについては、各医師の判断にゆだねられています。下記を見比べると、実際のところ2つの診断基準はほぼ同じ内容である事がわかると思います。2つの診断基準とも、まずパニック発作の有無をチェックし(13あるいは14項目の内、4つ以上の症状が同時に発作的に出現する)、その上で発作が繰り返されている事が確認でき、さらに物質や身体疾患・他の精神疾患による可能性が否定出来た時に初めてパニック障害と診断される大まかな流れとなっています。ただし異なる点としては、DSM-Ⅳ-TRでは、発作後の予期不安や破局的認知・著明な行動変化といった発作の随伴症状を診断基準に取り入れていますが、ICD-10ではそれがありません。また、DSM-Ⅳ-TRでは広場恐怖(恐怖症性回避)は「パニック障害を伴う場合はその一症状」として位置づけて(従ってパニック障害を伴う場合はコード番号がありません)いますが、ICD-10では広場恐怖はパニック障害とは独立した疾患(恐怖症の一種)として扱われています。また、ICD-10では発作の頻度によりパニック障害の重症度を分けていますが、DSM-Ⅳ-TRではそれがありません。

1. パニック発作

2. パニック障害

3. 広場恐怖