こころのはなし
こころの病気に関わるいろいろなお話を紹介します。
「こころの病」についての知識をはじめ、
バラエティに富んだ情報を提供するなど、
患者様はもちろんご家族など皆様との交流を目指すコーナーです。
単純型統合失調症
F20.6 単純型統合失調症 Simple schizophrenia
疾患の具体例
25歳、女性。以前から気力が出なく、人とコミュニケーションを取ることが苦痛でした。いつも無表情で、話し方にも抑揚がなく、自分の部屋に引きこもりがちです。1年ほど前から通院し、うつ病の治療をしていますが、思うように回復しません。それどころか、症状は徐々に悪化していき、会社勤めもやめてしまいました。別の病院を受診すると、「破瓜型統合失調症の可能性がある」と言われて治療を受けました。しかし、それでも良くならず、やむを得ず再び病院を変更し、改めて診察を受けると「単純型統合失調症」と診断されました。
症 状
いわゆる陽性症状はないか、ごくわずかです。中心となる症状は陰性症状で、喜怒哀楽が乏しくなり、周囲に関心を払わず自分のことだけに没頭したりします。それらの症状は徐々に進行していきます。
予後
だんだんと対人能力が低下したり、物事を遂行したりすることが困難になります。社会生活を営むことが難しくなり、放浪生活を送るようになる場合もあります。
診断基準:ICD-10
単純型統合失調症は、確信を持って診断することが困難である。なぜなら、先行する精神病性エピソードとしての幻覚、妄想、あるいは他の症状の病歴がなく、残遺統合失調症に特有な「陰性」症状が緩徐に進行性に発展することを確認しなければならないからである。
診断基準:DSM-5
記載なし
※参考文献
『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)