No.1041〜1050
No. | タイトル | No. | タイトル |
No.1049 | 病気の悪化で元気のない父 | No.1050 | 産休後仕事についていけず苦しい |
No.1047 | 忙しいのに母から頻繁に電話が | No.1048 | 子どもを愛せる自信がない |
No.1045 | 弟がひきこもり状態に | No.1046 | 慢性疲労症候群とは? |
No.1043 | 健康食品にハマる母 | No.1044 | 自分を傷つけてしまう「自傷行為とは」 |
No.1041 | ペットロスで元気のない母 | No.1042 | 気付きにくい「うつ病」に注意を |
1050 産休後仕事についていけず苦しい
「産休後、4月に職場復帰しましたが仕事についていくことができず、家に帰っても落ち込んだ気分が続いています。」29歳・女性からの相談です。
ご相談者は昨年、長女を出産。1年近い産休を経て4月に職場復帰しました。しかし以前と同じ部署に配属されなかったため初めての仕事も多く、ミスが続いているそうです。また保育園への迎えのために他の社員より早く退社することや、子どもの風邪などで急に休むことに引け目を感じてしまい「最近は同僚の目が気になり、職場で普通に話すこともプレッシャーに感じる」と言います。
子育て中は心身に大きな負担がかかるため、もともと心の病気になる人が多い時期です。さらにご相談者の場合、産休後に配属された部署が適性に合っていない、以前の価値観や考え方が通用しないといった状況があり、適応に時間がかかっていると思われます。 現在のような集中力を欠いたり意欲が湧かない状態が長く続くようなら、適応障害やうつ病など心の病気になっている可能性があります。いずれにしても心療内科や精神科など専門科を早めに受診することが望ましいと思います。
適応障害の場合は会社と相談して環境を変えたり、カウンセリングで価値観や考え方を変えることに取り組むほか、うつ病の場合は、薬の服用や認知行動療法で対応します。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/05/17
1049 病気の悪化で元気のない父
「70歳の父は糖尿病の症状が悪化して以来、『早く楽になりたい』などと気弱な事ばかり言います。どのように元気づけたらよいでしょうか。」40歳・男性からの相談です。
ご相談者のお父上は10年以上も闘病病を患っていますが、特に最近は体調が思わしくなく「自分はもう長くない、家族に迷惑をかけて申し訳ない」といった発言が目立つようになったそうです。外出もほとんどしないうえ、家での会話もすくなくなり家族を心配させています。
糖尿病をはじめとした内科的な病気は心理的な負担が大きく、それをきっかけとして心の病気が現れるケースも数多くあります。
お父上も自責的な発言や外出しない、口数が減るなどの症状から、うつ病やそのほかの心の病気による抑うつ状態にある可能性が高いと考えられます。
心の病気の場合、その種類によっても対処は変わってきます。ご相談者は「何とか元気づけたい」とおっしゃいますが、励ますことが逆効果になる場合があります。周囲が「がんばって」と伝えると「がんばれない自分」をダメな人間だと責めてしまい、かえって不安感が増したり、心の負担が大きくなることもあるからです。
早めに心療内科など専門科を受診し、状態をしっかり診断してもらったうえで、どのように対処するべきかを考えましょう。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/05/10
1048 子どもを愛せる自信がない
「忙しいのに実家の母が頻繁に電話してきて困る」と主婦の方から相談を受けました。
この場合、娘さん自身の多忙な生活を見直す必要があります。電話が来ると、切るタイミングばかり気にしていませんか?それでは、お母様は話をしている手応えを感じません。すると焦ってしっかりコミュニケーションをとろうと余計長く話してしまうのです。
まず会話を楽しむ気持ちを持ちましょう。でも時間が無いときもあるでしょう。その場合は、状況を正直に伝えましょう。「そろそろ夕飯の支度だからまたね」など、きちんと伝えれば気持ちよく切ってくれるはずです。
それでも長々話すなら、お母様の状況を考えることが大切です。 心に寂しさを抱えていないかなど、充実した生活が送れるよう、働きかけることが必要になります。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/05/03
1047 忙しいのに母から頻繁に電話が
「4歳の娘をどうしてもかわいいと思えません。言う事を聞かないときなど、感情的になってきつく当たってしまい、つい手が出てしまうこともあります。今後娘とどのように接したらよいでしょうか。」34歳・女性からの相談です。
8歳になる息子さんに比べて娘さんの容姿が悪いように感じ、そのせいで娘さんをかわいいと思えないというご相談者。 聖書のカインとデベルの逸話を例に挙げるまでもなく、親子と言ってもある種の「相性」があります。複数のお子さんがいる場合、愛情に濃淡があることは決して珍しいことではありませんし、そのこと自体は問題ではありません。自らの心の動きに気付くことができれば、意識的に優しく接してあげることでバランスをとることもできます。
ここで問題なのは、ご相談者が「つい手が出てしまう」とおっしゃっていることです。場合によっては虐待にあたりますので、今すぐやめるべきです。もしイライラが先立ってしまう場合は、散歩に出たり別の部屋にいるなど、娘さんと物理的に距離を取る工夫をして、気持ちが落ち着くのを待ちましょう。
それでも気持ちがコントロールできない場合は、うつ病や双極性障害、統合失調症といった心の病気が背景にある可能性があります。治療により緩和するケースも多いので、まずは専門科にご相談下さい。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/05/02
1046 慢性疲労症候群とは?
いつも疲労を感じる「慢性疲労症候群」についてお話ししましょう。
慢性疲労症候群とは、ウイルスが原因ではないかと言われていますが、うつ病と似た症状もあり、確定診断が難しい疾患です。主な症状は体のだるさや疲れやすさが多く、気分の変調はそれほど目立ちません。うつ病ではポピュラーなめまい、動悸・息苦しさ・頭痛などの自律神経症状も少ない傾向があります。
慢性疲労との違いは、慢性疲労は過労などによる疲労で、休養すれば回復します。十分休養を取り、疲労がたまらないような環境調整をしても、なおかつ疲労感が続くようなら慢性疲労症候群の疑いがあります。心配な場合は相談を。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/04/30
1045 弟がひきこもり状態に
「浪人中の弟が勉強もせず家にひきこもっています。どうしたら弟の意欲を取り戻せますか」22歳・女性からの相談です。
ご相談者の弟さん(19歳)は大学受験に失敗し、昨年4月から「浪人生活」を送っていました。しかし3カ月ほどで勉強しなくなり、今年は受験もしませんでした。一日中家でテレビを見たり、ゲームをして過ごしており、ご両親は「大学に行かないなら働け」と言っていますが、バイトをしたり職を探す気配もなく、そのためご両親と弟さんが顔を合わせるたびに言い争いになっているそうです。
一日中テレビを見たり、ゲームをして過ごすというのは、健康な人ではあまりない状態です。睡眠があまりとれていない、頭痛や肩こり、めまいや気分の落ち込みなどの症状がある場合は、うつ病や双極性障害の抑うつ状態、統合失調症といった心の病気の可能性が高いと言えますので、早めに専門科を受診して下さい。
こうした症状がなければ、青年期によくある「どう生きるべきか」という迷いに陥っているのかもしれません。まずは本人の話を聞くことが大切です。その際、意見を否定したり考えを押し付けるのではなく「とことん話を聞くよ」という姿勢で何度もトライすれば、次第に心を開いてくれると思います。そして弟さんと人生にとって何が必要か、一緒に考えてあげて下さい。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/04/26
1044 自分を傷つけてしまう「自傷行為とは」
若い人に多いリストカットに代表される自傷行為。原因となる背景疾患などについてお話ししましょう。
自傷行為とは、自分を傷つける行為で、リストカットのほかにも自分の頭を壁に打ちつける、首をつる、階段から飛び降りる、大量の飲酒や服薬など多岐にわたります。 原因となる背景疾患はとして一番多いのは境界性パーソナリティ障害だと思われます。発達障害や精神遅滞、うつ病などでも認められますが、摂食障害の過食も自傷行為ととらえることがあります。
境界性パーソナリティ障害では非定型うつ病をほぼ合併するため、抑うつ状態を解消しようと自傷行為をする場合もあります。また、発達障害・精神遅滞は、言いたいことが伝わらず行うことも。うつ病の場合は単に傷つけるだけでなく、自殺が目的の場合もあり見極めるのが難しいです。
境界性パーソナリティ障害は若い人に多く見られます。発達障害の子どもの場合では成長に従い、言葉での表情や感情調整、社会適応ができるようになると改善される場合もあります。まずは相談を。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/04/19
1043 健康食品にハマる母
「母がある健康食品にハマってしまいました。そのせいで父との仲も険悪になっています。なんとか母の思い込みを緩和させたいのですが」20歳・女性からの相談です。
ご相談者は幼い頃から病気がちでしたが、数年前に母が勧める健康食品を飲み出したところ症状が改善しました。それ以来、お母様は健康食品の効能を信じ切ってしまい、メーカーのセミナーに頻繁に出かけ、数万円もするセットを親戚や知人に勧めては煙たがられているそうです。ご主人ともそれがもとで言い争いが絶えず、家庭の雰囲気も最悪の状態と言います。
「娘が健康になった商品を他の人にも勧めたい」というお母様の気持ちそのものは理解可能で、病気等の可能性は少ないと思います。しかし効能を盲信するあまり、周囲との人間関係を悪化させていることは問題です。
この場合、やめるように怒っても逆効果です。まずは「必要な人にだけ勧めればいい」ということを論理的に説明して下さい。
また間接的な方法ですが、旅行の計画を練ったり一緒に運動する、子育てについて話し合うなど、生活の中に健康食品以外の行動や問題を増やすことも効果的です。楽しく充実した時間が持てれば、「娘が健康食品で元気になった」という体験そのものが過去になっていき、自然と熱が冷めていく可能性もあります。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/04/19
1042 気付きにくい「うつ病」に注意を
一見してうつ病と気付きにくい「偽痴呆」や「仮面うつ病」「季節性うつ病」についてお話ししましょう。
偽痴呆とは、“仮性認知症”とも呼ばれ、特に高齢者がうつ病になった場合に言われることがあります。うつ病では思考の停止により、集中力の低下や維持が困難になることがあります。うわの空で聞いていて覚えていなかったり、思い出すのに時間がかかってしまったりする状態が、あたかも認知症のように見えます。認知症とは異なるため、うつ病の軽快とともに症状は改善します。
仮面うつ病とは、うつ病は気分の落ち込みのほか、体に症状が出やすい疾患です。程度が軽い時期においては、頭痛・肩こり・腰痛などの身体症状しか出ないこともあります。表面に現れている身体症状の検査をしても原因が分からず、なかなか改善されない場合に、実はうつ病が隠れているということも。これを“仮面うつ病”といいます。
季節性うつ病とは、日照時間が短くなる冬場など一定の季節になると、気分の落ち込み、疲労感などの症状が現れ、そのサイクルを毎年繰り返します。
つらい症状がある場合は我慢せず、早めに相談を。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/04/12
1041 ペットロスで元気のない母
「飼っていた犬が亡くなって以来、元気のない母が心配です。どう接したらよいでしょうか。」42歳・女性からの相談です。
ご相談者のお母様(68歳)は2カ月前、15年間飼っていた犬が死んでしまってから、急に意欲をなくしてしまったそうです。外出しない日も多く、掃除や洗濯も滞りがち、家の中もだんだん荒れてきており、ペットロスがきっかけで心の病気になっているのではないかと周りの家族は心配しています。
いるだけで癒しになり、家屋間のコミュニケーションも円滑になる。今やペットは家族の一員です。特にお母様は15年という長い時間をその犬と一緒に過ごしたわけですから、寂しさ、喪失感は相当なものだと思います。実際、ペットロスをきっかけに心の病気になる人もいらっしゃいます。
ただ、肉親を失うこととの大きな違いは、ペットはある意味では「置き換え」がきくということです。 まずお母様の悲しみを受け止めてあげて、その上で新しいペットを飼うことを勧めてみて下さい。最初は抵抗もあるかと思いますが、新しいペットを飼うことで張り合いが生まれ、ふさぎこんだ気分も解消できるケースが多いです。
それでも意欲が湧かず、落ち込んだ気分が続くようなら、本格的に心の病気になっている可能性が高いと思います。早めに専門科を受診して下さい。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/04/12