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持続性複雑死別障害

持続性複雑死別障害

Persistent Complex Bereavement Disorder

 

特 徴

「持続性複雑死別障害」は、親しい人との死別による著しい悲嘆や苦痛が、少なくとも12カ月(子どもでは6カ月)以上も続く障害です。1歳以上であればどの年代でも起こり得ます。

 

典型的には、故人を強く恋しがる気持ちや、深い悲しみを繰り返します。あるいは、頻繁に泣いたり、故人のことで頭がいっぱいになったりするかもしれません。子どもでは、故人を求める気持ちが遊びや行動のなかに表れることもあります。

さらに、「死に反応した苦痛」として、故人の死を信じようとしなかったり、故人や死に対する怒りを感じたりすることがあります。故人を思い出させる人や場所を避けるようになるかもしれません。また、「社会性/同一性の混乱」として、故人と一緒にいたいために自殺を考えることもあります。他人を信用できない、孤独に陥る、人生を無意味に感じる、自分の一部が故人と一緒に死んだように感じる人もいます。交友関係がなおざりになり、将来の計画を立てる気力が失われる場合もあります。

 

人によっては、今も故人が生きているように感じたり、故人の声が聞こえたり(幻聴)することもあります。故人が感じていたはずの痛みや苦しみ、疲労感などを、自分自身も感じる人もいます。

 

※注意

ここに掲載した一連の基準は臨床現場で用いるためのものではありません。DSMの公式の精神疾患診断として採用するには証拠が不十分ですが、今後の研究のために専門家によって示され、検討されている案です。

 

有病率

この障害の有病率は約2.4〜4.8%です。男性より女性に多く見られます。

 

経 過

多くの場合、親しい人の死後1カ月以内に症状が現れます。しかし、それが12カ月(子どもでは6カ月)を超えない限り、持続性複雑死別障害とは診断されません。

 

原 因

環境要因:

生前に故人への依存が高い場合や、子どもが亡くなった場合に、この障害のリスクが高まります。

 

遺伝要因と生理学的要因:

男性より女性のほうがリスクが高いと思われます。

 

診断案:DSM-5

A. 親しい関係にあった人の死を経験。

B. その死以来、以下の症状のうち少なくとも1つが、そうである日のほうが、ない日より多く、臨床的に意味のある程度、残されたのが成人の場合は少なくとも12カ月、子どもの場合は少なくとも6カ月続いている。

  1. 故人への持続的な思慕/あこがれ。年少の子どもでは、思慕は、養育者や他の愛着をもつ人から離れまた再会するような行動を含む、遊びや行動として表れるかもしれない。
  2. 死に反応した深い悲しみと情動的苦痛
  3. 故人へのとらわれ
  4. その死の状況へのとらわれ。子どもでは、故人へのこの傾倒は遊びや行動の主題を通して表されるかもしれず、身近な人たちの死の可能性へのとらわれに及ぶかもしれない。

C. その死以来、以下の症状のうち少なくとも6つが、そうである日のほうが、ない日より多く、臨床的に意味のある程度、残されたのが成人の場合は少なくとも12カ月、子どもの場合は少なくとも6カ月続いている。

  1. 死を受け入れることの著しい困難。子どもでは、これは死の意味と永遠を理解する能力に左右される。
  2. 喪失を信じようとしない、または情動的な麻痺を経験
  3. 故人を肯定的に追憶することの困難
  4. 喪失に関連した苦しみまたは怒り
  5. 故人や死に関して、自分自身に対して不適応な評価をすること(例:自己非難)
  6. 喪失を思い出させるものからの過剰な回避(例:故人に関連した人、場所、状況の回避;子どもでは、故人について考えることや感じることの回避も含むかもしれない)

 

社会性/同一性の混乱

  1. 故人と一緒にいたいために死にたいと願うこと
  2. 死以来、他人を信用できない
  3. 死以来、孤独である、または他人から切り離されていると感じる
  4. 故人なしでは人生は無意味で空虚と感じるか、故人なしでは機能することができないと信じる。
  5. 人生における自分の役割に対する錯乱、または自己の同一性が薄まる感覚(例:自分の一部分が故人とともに死んだと感じる)
  6. 喪失以来、興味を追求したり、将来の計画を立てたりすることが困難である。または気が進まない(例:交友関係、活動)

 

D. その障害は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

E. その死別反応は、文化、宗教、年齢相応の標準に比して不釣り合いである、または矛盾している。

 

該当すれば特定せよ

外傷性死別を伴うもの:殺人または自殺による死別で、(しばしば喪失を思い出させるものに反応して)その死の外傷的な性質、死の最期の瞬間、苦しみの程度、遺体のひどい損傷、あるいは悪意や故意による性質に、持続的に悲嘆にくれながらとらわれる。

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

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