トップページ 診療案内 各種プログラム こころのはなし 家族教室 スタッフ募集 サイトマップ English
こころのはなし

こころの病気のはなし > 専門編 > 物質・医薬品誘発性強迫症および関連症

物質・医薬品誘発性強迫症および関連症

物質・医薬品誘発性強迫症および関連症/ 物質・医薬品誘発性強迫性障害および関連障害

Substance/Medication-Induced Obsessive-Compulsive and Related Disorder

 

疾患の具体例

22歳、男性。重度のコカイン使用障害で、中毒症状があります。ある時、コカインの使用後に強迫的なかきむしり行為が生じました。通常の中毒症状では説明がつかないほど激しい症状でした。これまで強迫症や皮膚むしり症になったことはありません。

 

特 徴

この障害の基本的特徴は、乱用薬物や医薬品などの影響で、脅迫観念(不合理だとわかっていても、頭から離れない考え)や脅迫行為(不合理だとわかっていても、止められない行動)といった著しい強迫症の症状が現れることです。あるいは強迫症の関連症(抜毛症、皮膚むしり症など)が生じることもあります。

精神疾患や身体疾患の治療のために使った医薬品が原因の場合は、薬を中止すると数日から数週間、もしくは1カ月間(物質・医薬品の半減期による)くらいで改善するか、寛解します。

また、刺激薬(コカインやアンフェタミンなど)、重金属、毒物などの中毒に関連して発症する場合もあります。症状が重篤で個別な治療が必要な場合にのみ、物質中毒の診断に加えて、物質・医薬品誘発性強迫症および関連症の診断がつきます。

 

なお、物質・医薬品誘発性ではない(通常の)強迫症・関連症かどうかは、発症時期や経過、他の要因を考慮して医師が注意深く区別します。物質や医薬品の使用より先に脅迫症状がある場合は、通常の強迫症・関連症かもしれません。また、物質中毒が終わった後もしばらく(約1カ月間かそれ以上)症状が続く場合、あるいはこれまでに強迫症や関連症になったことのある人は、通常の強迫症・関連症との診断が妥当とされています。

 

有病率

この障害の有病率はよくわかっていませんが、一般人口において極めてまれであると考えられています。

 

診断基準:DSM-5

A. 脅迫観念、脅迫行為、皮膚むしり、抜毛、その他の身体に焦点化された反復性行動、または強迫症および関連症群に特徴的なその他の症状が臨床像で優勢である。

B. 以下の(1)と(2)の証拠両方が、既往歴、身体診察所見、または臨床検査所見から得られている:

  1. 基準Aの症状が、物質中毒または離脱の期間中、またはその直後、または医薬品に曝露された後に出現した。
  2. 使用された物質・医薬品が基準Aの症状を引き起こしうる。

C. その障害は、物質・医薬品誘発性ではない強迫症および関連症ではうまく説明されない。物質・医薬品と関係ない強迫症および関連症であるとの証拠は、以下を含めてよい。

症状が物質・医薬品使用の開始に先行する;症状が急性の離脱または重篤な中毒が終わった後かなりの期間(例:約1カ月)持続する;または物質・医薬品誘発性でない他の強迫症および関連症の存在を示唆する他の証拠がある(例:物質・医薬品と関連のない反復性エピソードの既往歴)。

D. その障害は、せん妄の経過中にのみ起こるものではない。

E. その障害は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

注:臨床像において基準Aが優勢であり、かつ、それらが臨床的関与に値するほど十分に重度である時にのみ、物質中毒または物質離脱に代わって、この診断が下されるべきである。

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』 (医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』 (メディカルサイエンスインターナショナル)

こころのはなし こころの病気の知識 こころの病気のはなしこころの病気のはなし-2こころの病まめ知識福祉用語の基礎知識 お役立ち情報自立支援医療制度デイケア社会資源情報社会資源情報こころの健康アラカルトクリニック広場デイケア通信患者様の活動リンク集 トップページへ