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反抗挑発症/反抗挑戦性障害

反抗挑発症/反抗挑戦性障害

Oppositional defiant disorder

 

疾患の具体例

8歳、男児。家族に対して常にイライラしており、毎日のようにかんしゃくを起こすため、精神科に連れてこられました。彼は、医師の前では大人しく、従順です。しかし母親によると、家で気に入らないことがあった時に親を口汚く罵り、泣き叫びながらものを投げつけ、イスやテーブルを蹴りつけたりするそうです。この男児は2歳の時に両親が離婚して母親に引き取られ、幼い時期から一人で過ごすことがよくありました。昨年、母親が再婚した頃から、かんしゃくが酷くなっています。

 

特徴

反抗挑発症/反抗挑戦性障害は、9〜10歳未満の子どもに見られることの多い障害です。症状は「怒りっぽく/易怒的な気分」(かんしゃくを起こしたり、イライラしやすい)、「口論好き/挑発的な行動」(権威ある人や大人と口論したり、規則を破る)、「執念深さ」の3カテゴリーに分けられます。通常、家庭に限って症状が現れ、学校やその他の場所ではそのような態度を示さないかもしれません。しかし、より重度の場合は複数の状況(家庭と学校など)で症状が見られます。

大人に対する反抗や挑発は、ある程度のものであれば定型発達の子どもにも見られます。しかし、一定の要件を満たすと、反抗挑発症と診断される可能性があります。まず、6ヵ月間以内に4つ以上の症状があること。次に、症状の持続期間と頻度が、その子どもの年齢や性別などで標準とされるものを超えること。例えば、就学前の子どもが週に一度くらいかんしゃくを起こすことは異常ではありません。しかし、ほとんど毎日のようにかんしゃくを起こしたり、かんしゃくのほかに物を壊したり、他の症状も伴っている場合は、反抗挑発症と見なされるかもしれません。

 

この障害のある子どもは、自分が反抗的で挑発的であるとは思っていません。むしろ、周囲の理不尽な要求や状況のせいで、怒ったり、挑発的な態度になったりしてしまうと感じています。その結果、仲間から拒絶されて孤立したり、周囲の手助けを得られなかったりして、学業不振に陥るかもしれません。

 

なお、似た症状の障害に素行症がありますが、こちらは他者に向けた攻撃性、所有物の破壊、盗みや詐欺などの様式も含みます。一方で、反抗挑発症に見られる怒りや易怒的な気分は含まれません。

 

有病率

反抗挑発症の有病率は1〜11%の範囲で、平均すると3.3%と推定されます。青年期前では男児の方が女児より多く(1.4:1)見られますが、成人後はあまり男女差が見られません。

 

経過

通常、就学前から症状が現れ、青年期早期以降はまれです。この障害が発達期を通じて持続する場合は、親や教師、友人や恋愛関係の相手とたびたび葛藤を経験します。

 

原因

気質要因:

情動をコントロールすることが難しい気質(例:高い情動的反応性、欲求不満耐性の低さ)が、この障害を予知するものと言われています。

環境要因:

養育者がたびたび代わったり、ネグレクトを受けたりといった養育環境は、反抗挑発症のある子どもによく見られます。

遺伝要因と生理学的要因:

多くの神経生物学的マーカーが、反抗挑発症に関連することがわかっています。例えば、心拍数や皮膚電気伝導度の低さ、コチゾールの基礎活動レベルの低下、脳の前頭前野や扁桃核の異常などが挙げられます。しかし、反抗挑発症に特異的なマーカーがあるかどうかは不明です。

 

治療

治療の第一選択肢は家族への介入で、親がどのように子どもに接するべきかをトレーニングします。例えば、子どもが望ましくない行動をとったときはあえて注意を向けず、適切な行動をとったときに褒めて強化する、などです。親が子どもを強く叱り、体罰を与えると子どもは攻撃的になります。そうした接し方ではなく、親子のポジティブな交流を増やすことで、反抗挑発症の予後がよくなるかもしれません。

反抗挑発症の子どもに対しては、ロールプレイなどを用いた個人精神療法が有効な場合があります。治療を通じて、家族や仲間との関係性における達成感やコントロール感を得る方法を学ぶことができます。

 

診断基準:DSM-5

A. 怒りっぽく/易怒的な気分、口論好き/挑発的な行動、または執念深さなどの情緒・行動上の様式が少なくとも6ヵ月間は持続し、以下のカテゴリーのいずれか少なくとも4症状以上が、同胞以外の少なくとも1人以上の人物とのやりとりにおいて示されている。

 

怒りっぽく/易怒的な気分

  1. しばしばかんしゃくを起こす。
  2. しばしば神経過敏またはいらいらさせられやすい。
  3. しばしば怒り、腹を立てる。

 

口論好き/挑発的な行動

  1. しばしば権威ある人物や、または子どもや青年の場合では大人と、口論する。
  2. しばしば権威ある人の要求、または規則に従うことに積極的に反抗または拒否する。
  3. しばしば故意に人をいらだたせる。
  4. しばしば自分の失敗、また不作法を他人のせいにする。

 

執念深さ

  1. 過去6ヵ月間に少なくとも2回、意地悪で執念深かったことがある。

 

注:正常範囲の行動を症状とみなされる行動と区別するためには、これらの行動の持続性と頻度が用いられるべきである。5歳未満の子どもについては、他に特に記載がない場合は、ほとんど毎日、少なくとも6ヵ月間にわたって起こっている必要がある(基準A8)。5歳以上の子どもでは、他に特に記載がない場合、その行動は1週間に1回、少なくとも6ヵ月間にわたって起こっていなければならない(基準A8)。このような頻度の基準は、症状を定義する最小限の頻度を示す指針となるが、一方、その他の要因、例えばその人の発達水準、性別、文化の基準に照らして、行動が、その頻度と強度で範囲を超えているかどうかについても考慮するべきである。

 

B. その行動上の障害は、精神病性障害、物質使用障害、抑うつ障害、または双極性障害の経過中にのみ起こるものではない。同様に重篤気分調節症の基準は満たさない。

 

現在の重症度を特定せよ

軽度:症状は1つの状況に限局している(例:家庭、学校、仕事、友人関係)

中等度:いくつかの症状が少なくとも2つの状況で見られる。

重度:いくつかの症状が3つ以上の状況で見られる。

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

『DSM-5 ケースファイル』(医学書院)

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