各種プログラム

ハートクリニックでは、患者様の治療でお薬の利用を最小限に減らすために、
さまざまな診療プログラムをご用意しております。

リワークプログラム

うつ病で仕事を休職されている方を対象に、復職に向けての準備をサポートするプログラムを行っております。生活リズムの改善や対人関係スキルの向上、また自己の振り返り作業を行うことで職場復帰後のセルフケアや再発予防を目指します。

対象となる方

  • うつ病、もしくは、うつ状態との診断を受けている方。
  • 利用にあたり主治医の許可がある方(他院に通院中の方でも、ご利用いただけます。)
  • 現在、休職中の方であり、離職されていない方
  • ご自身の復職への意思があり、週3以上、3ヶ月のプログラム参加が可能な方
  • ※尚、主治医やスタッフの判断により参加条件を満たさないと判断された場合は、ご参加いただけない場合がございますので予めご了承いただけますようお願い申し上げます。

主なプログラム内容

  • 認知療法:出来事や状況に対する自身の認知のクセを知り、その認知の修正方法を学び実践していくことで、身体反応、感情や行動の改善をもたらす心理療法です。
  • 心理教育:うつ病やうつ状態についての知識を深めることで、再発を予防します。
  • グループワーク:集団で様々な活動を行うことを通じ、対人スキルの向上を目指します。

ご利用までの流れ

リワーク

1ヶ月前までに医療相談室へお問い合わせ下さい。定員に達し次第締め切りとさせていただきます。

費用

  • 各種健康保険がご利用いただけます。(自立支援医療も適用です。)
  • 健康保険利用時:2,130円 (1日につき)
  • 自立支援医療の場合:710円 (1日につき)

※プログラム内容により、別途費用負担が掛かる場合があります。

リワークプログラムのメリット

「リワークプログラム」はうつ病などで休職した人がスムーズに復職するための支援プログラムです。医療機関や地域障害者職業センター、企業などで実施しています。 うつ病などで休職した人のうち、復職から5年以内に再休職してしまう割合は47.1%にのぼります(厚生労働省調べ)。リワークプログラムはそうした事態をさけるために、休職中から職場に近い体験をして体を慣らしたり、症状をコントロールする方法を学んだりします。

どんなことをするの?

利用者は決まった時間に実施機関に来て、プログラムを受けます。多くの場合、会社員の労働時間と同じように午前から始まって昼食休憩を挟み、夕方に終了します。

プログラムの内容は実施機関によってさまざまです。 例えば、医療機関が実施しているリワークプログラムの一つに、「認知療法」(認知行動療法)があります。憂うつな気持ちが湧いてきた時の状況、自動的に浮かんだ考え、本来ありたい考えなどを紙に書き出し、ものごとの捉え方(認知)をコントロールする方法です。 あるいは、臨床心理士や精神保健福祉士などが講師になり、心理教育を行うこともあります。うつ病とはどんな病気なのか、再発防止には何が大切なのかなどを学び、自分が抱えている課題への理解を深めます。 ほかに、グループワークといって、複数で話し合ってコミュニケーションスキルを身につける方法もあります。ほかの人の意見を聞くことで視野が広がり、柔軟な考えが身につくことが期待されています。お互いに励まし合うことで、復職への意欲も沸くことでしょう。

最近は、「アサーショントレーニング」(非攻撃的自己主張)を取り入れる機関も多いようです。うつ病などにかかっていると、人に気を使って自己主張ができなかったり、逆にイライラして攻撃的になったりしがちです。しかし、相手の気持ちを考えながら自分の言いたいことを伝える方法「アサーション」を学ぶことで、上手に対話できるようになっていきます。具体的には、職場で起こりそうな困りごと(例:飲み会を断りたい、仕事が多すぎる)を想定して参加者同士で会話をし、自分の発言によって相手がどう感じたか確認します。それを繰り返すことで、上手に自己主張ができるようになっていきます。

ほかに、オフィスのような部屋で、パソコン作業や仕事の打合せのようなことをする。新聞や仕事に関する本を読むなどして、職場の感覚を取り戻すトレーニングもあります。 実施機関によっては、軽いスポーツやダンス、ヨガなどをします。体力をつけたりリフレッシュしたりできるほか、参加者同士で相談したり、自分に与えられた役割を果たしたりすることで、チームプレーを学ぶことにもつながります。

上手に利用するには?

リワークプログラムを受けるには、医師の許可が必要です。ある程度、生活リズムが整っていること。加えて、実施機関まで通う基礎体力、新聞や雑誌を読めるくらいの集中力があること、自分の病気を理解していることなどから判断されます。

医師の許可がおりてリワークプログラムに通い始めたら、まずは「生活リズムの立て直し」を意識しましょう。休職中は、昼夜逆転の生活になったり、食生活が乱れたりすることが少なくありません。その状態が長く続くと、うつ病などが悪化するだけでなく、体の病気にもなりかねません。リワークプログラムに参加する場合は、遅れず休まずに参加することを当面の目標にするとよいでしょう。 はじめは週2日程度から通い、徐々に日数を増やしていくのが一般的です。丸一日通うのが難しい人は、午前だけ、または午後だけの短時間型プログラムに参加する方法もあります。実施機関によっては、復職後にも通えるナイトケア(夕方以降の開催)を実施しています。

リワークプログラムを効果的に利用するには、何よりも本人のモチベーションが大事です。「言われたことだけすればいいや」と受け身になるのではなく、積極的にプログラムに取り組み、自分の精神状態を冷静に見つめる(内省する)ことが、復職へとつながります。 また、学校や職場と同じように、リワークプログラムも一度休むとそのまま行かなくなりやすいものです。「ちょっと行きたくないな」と思っても、なるべく身支度をして家を出ましょう。リワークは行けないけれど図書館なら行けるのなら、そうします。その場合、忘れずにリワーク実施機関へ連絡をしましょう。

リワークを卒業するまでの道のりは

リワークプログラムでは、その日の生活リズム表や作業報告書をスタッフに提出します。それらを元に、スタッフがプログラムの効果を書面にまとめます。基本的生活習慣、作業能力、知的理解力・認知、対人交流、心理的側面といった項目で評価し、一定以上の評価が得られれば卒業になります。 卒業までの期間は概ね半年程度が多いようですが、人によって大きく異なります。3カ月の人もいれば1年くらいかかる人もいます。実施機関によっては、あらかじめ期間を定めているところもあります。

なお、うつ病などが悪化してどうしても通い続けられないなら、中断して治療を受けます。症状が落ち着いたら再開することもできます。

※参考文献 日本うつ病リワーク協会 WEBサイト 『うつ病の人の職場復帰を成功させる本』(講談社)

卒業生の声

リワークプログラムを卒業された方の声をご紹介します。なお下記は、あくまで個人の感想です。利用された方全員に同様の効果を保証するものではありません。

  • 不安で一杯だった私を受け入れて下さり、ありがとうございます。 社会的なルールを学びながら、大らかに過ごして回復を目指せた時間を、とても貴重に思います。私にとってリワークで過ごした時間は、自分と向き合い、心の回復をはかるための大切な時間でした。3ヶ月を共に過ごしたスタッフさんやメンバーの仲間に支えられ、少しずつ回復していきました。今は、自分の経験がいつか人の役に立つことを願いながら、復職後の生活を健康に過ごしていこう、という気持ちでいます。 私の一番の悩みは日々の睡眠で在職中はずっと不眠の日々で週末は何か活動(内・外問わず)でした。プログラム参加当初は、「続けられるだろうか?」という不安で一杯でしたが、続けてみると、徐々にプログラムを楽しめている自分がいることに気付きました。継続して通所できたのは勿論、自分の生活リズムを確立できたことが大きいですが、講師の方はじめスタッフ、メンバーの方の存在、雰囲気がなにより大きかったと思います。私はこのリワーク終了後、復職に向けて準備を進めますが、自分の本当の悩みを受け入れてくださった人・場所・時間にとても感謝しています。ありがとうございました。 包まれるような温かい環境の中で3ヶ月を過ごすことができました。 とても素晴らしいスタッフさん、メンバーの皆さんに出会うことができ幸せに感じております。当初は、会社側より、復職条件としての受講するように言われたことが始まりでしたが、どう臨むか、自分の意識によって大きく変わってくるものと思って、出来るかぎり前向きに臨んできました。いろいろな葛藤や壁を感じたりすることもありましたが、モチベーションを高く維持することができ、結果として、多くのことを学び、自分というものを見直すよい機会を頂くことができました。 ここで得たことを糧に地道に歩んでいきたいと思います。大変お世話になりました。
  • きっかけは産業医からのゴリ押しに近いすすめだった事もあり、当初はかなり受動的な参加だった。実際に始まってみると固いプログラムだけでなく楽しんで参加できるものもあり、受動的な姿勢がどんどん抜けていった。通所を通して自分を客観視する事ができ、自分にとって大変有意義な時間を過ごせたと思う。
  • 私はうつと休職のトラウマをかかえながらも、双極性障害の躁状態でプログラムに参加し始めました。プログラムを通して落ち着いて、冷静になれ、過去のトラウマも自分自身と自分自身の置かれている状況を客観的に検討・分析する事ができ、トラウマを乗り越えられました。復職に向けて少しの自信と安心感を得ることができました。参加して本当に良かったです。
  • 1人での復職準備には限界があると思います。1年に渡る休職から、復職に向けての準備としてこのプログラムに参加させていただきましたが、参加して良かったと思います。
  • はじめは3ヶ月間やっていけるか不安でしたが、プログラムに日々集中することで自然とやれている自分がいました。毎日笑顔で過ごせるようになったことが本当に嬉しいです。これからもリワークで学び身につけたことを忘れず、復職を目指したいと思います。スタッフの皆様、本当にありがとうございました。
  • 人生の中で立ち止まったことは、なかなか他の人に共有しづらいことだが、ここにいる皆は、程度の違いはあれど、立ち止まる辛さを味わった人達がいて、皆必死に人生と向き合っている姿に強い共感と仲間意識がもてた。 特に、SEというプログラムで、皆の良いところを見つけ、それを伝えることで、自身、自然と街中でも良いことを探すようになり、視野が明るくなった。 自分の足元をしっかりふみしめ、前に向いていける自信の源になりました。
  • 様々な考えや気付きを与えて頂き、とても充実した3カ月でした。 最初は“生活リズムを整え、通勤の訓練をしよう”という気持ちが大きかったですが、自分自身をバージョンアップすることができました。
  • 会社員として回復するためには先ず人として回復することが必要であると思います。そして、そのためにはありのままの自分を受け入れてくれる環境が必要であると思います。 ハートクリニックデイケアにはそれが揃っており、復職という目標を越えて、自分らしく生きるための術を授けて頂きました。
  • リワークに参加して、年齢や役職、会社も異なるリワーク参加者の皆さんと、朝のミーティング、復職準備ミーティングで話し合うことによって、多様な価値観やものの捉え方、考え方に触れることが出来て、自分自身の個性について、真剣に考え、再発見することが出来ました。 自分自身の良い点や足りない点を含めて、肯定することが出来て、それが自信や自尊心の回復につながったことは、復職という短期的な目標に限らず、より良い人生を歩むという長期的な目標にも、必ずプラスに働くと思います。リワークで関わって下さった皆さんに感謝です。
  • 初めは手探り状態で初めての場所、初めての人色々な光景やみんなの前で話すプログラム等とても衝撃的でした。苦手だったな~ それも気付けば3ヶ月前の事。本当にあっという間でした。 リワークプログラム内だけでなく、皆さんと会話する中でのヒントや気付きが沢山あって、私にとってとても貴重な時間となりました。 これから復職となりますが、ハートクリニックで学んだ事、感じた事、考えた事を新たな武器として引っさげて戦いに臨もうと思っています。 3ヶ月間本当に有難う御座いました。 これから又梅雨の季節に入り体調を崩しやすくなりますので、どうかお体には気をつけてくださいね。