F52.4 早漏
Premature ejaculation
Premature (Early) ejaculation
35歳、男性。1年前に結婚しました。妻との関係は良好で、夫婦共に子どもを持つことを希望しています。しかし、結婚直後から早漏になり、なかなか妻の妊娠に至りません。性交渉を行う際、必ずと言っていいほど膣挿入の前に射精してしまいます。結婚前にはこうしたことがありませんでした。今の自分が情けなく、「これからずっとこうなのか」と強い不安を感じています。妻は「気にしないで」と言いますが、本当は性的に不満足なのではないか予想されます。そこで、泌尿器科を受診しましたが、医学的な要因は見つかりませんでした。精神科クリニックに相談すると、「強いストレスが原因の獲得型早漏では」と言われました。言われてみると、結婚後から仕事が忙しく、職場の人間関係がうまくいかない悩みがありました。
早漏とは、お互いに性交を楽しむことができないほど、射精をコントロールする能力がない状態を指します。膣内射精に至るまでの時間が約60秒以内であり、なおかつ約6カ月以上持続していることなどが診断基準です。重症の場合は、膣への挿入以前、あるいは勃起しないままに射精が起こります。多くの早漏の男性は、射精をコントロールできないことに不安を感じています。
初めての性体験からずっと早漏である場合を「生来型」、過去には射精をコントロールできていたのに早漏になった場合を「獲得型」と分類します。獲得型は発症する年齢が比較的高く、30代かそれ以降に見られる傾向があります。
早漏は、自尊心の低下や制御欠如の感覚、パートナーとの関係への悪影響と関連する可能性があります。また、性的パートナーが満足せず、苦痛を感じる要因となることもあります。挿入する前の射精は、受胎能力に関連するかもしれません。
国際的には18~70歳の男性の20~30%以上が「自分の射精が早いのではないか」と心配しています。しかし、正しい診断基準に基づいて調べると、膣挿入から約1分以内に射精が起こる男性はわずか1~3%だと言われています。また、早漏の男性の約20%において、年齢とともに症状がより重症化します。
生来型の早漏は、時間がたつにつれてコントロールできるようになる男性もいるかもしれません。しかし、生涯を通じてあまり症状が変わらないことが多いとも考えられています。獲得型の経過については詳しくわかっていませんが、甲状腺機能亢進症や前立腺炎といった医学的疾患の回復により、射精までにかかる時間が元通りになると考えられています。
以下の要因との関連が考えられます。
ほかに、下記のように原因を分類する場合もあります。 気質要因:不安症、特に社交不安症(社交恐怖)。 遺伝要因と生理学的要因:生来型の早漏には、中等度の遺伝的寄与があります。脳内伝達物質に関連する遺伝子「ドパミントランスポーター遺伝子多型」や「セロトニントランスポーター遺伝子多型」のはたらきが早漏に影響しているかもしれません。